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『五香宮の猫』想田和弘監督 日常の「観察」から、いかにしてドラマはたちあがるのか【Director’s Interview Vol.444】

『五香宮の猫』想田和弘監督 日常の「観察」から、いかにしてドラマはたちあがるのか【Director’s Interview Vol.444】

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「観察映画」に限界はあるか



Q:想田さんが提唱されている、「観察映画の十戒」ですが、十則でなく十戒というくらいだから相当厳しく自身に課しているのでしょうか。


想田:(笑)あれはルールが先にあったわけではなく、僕自身がどういう暗黙のルールでドキュメンタリーを作っているのかを事後的に考えて、数え上げると10個あったんです。それでヨーロッパで取材を受けたときに「モーセの十戒のように、観察映画の十戒というものがあるんだ」という話をジョークのつもりでしたら、みんな目を輝かせて興味を持った。それまで「10のルール」って言っていたときにはあまり興味を持たれなかったんですが、「十戒だ」と言うと突然興味を示す。それを十戒に沿って僕の映画を分析し始めたり。名前をどうつけるかによって、人の反応って変わるんだと感じました。


Q:「事前のリサーチは行わない」というルールもありますが、ドキュメンタリーの場合、そのルールだとやりづらい題材もありませんか? 例えば、事件物とか。



『五香宮の猫』© 2024 Laboratory X, Inc.


想田:それはできないでしょう…。できるかもしれないけども、いわゆる「事件物」というのにはならないと思います。現在進行中の事件を観察映画的に撮っていくことはできると思います。


Q:冤罪の訴えがされている飯塚事件を扱った『正義の行方』(24)など、ああいった題材は事前リサーチなしでは作れないだろうと思いました。


想田:そうだと思います。


Q:例えば今後、想田監督が映画にする題材でそういうものが現れたら、十戒も崩れるのでしょうか。


想田:多分、今の方法論のままでやるでしょうね。別の不得意な方法でやっても、自分の力が発揮できないので。むしろ今の方法論のままでやれない題材は、選ばないと思います。


Q:私だったら何も調べずに取材に行くと「調べてこい!」と怒られそうで不安になります。


想田:でもそれを正直に言えばいいと思うんです。自分はこういう作り方をしていて、なるべく情報を入れないようにしてきましたと。「知らないので教えてください」と言えばいいわけです。先入観を持って描こうとしていないことを、むしろ喜ぶ人も結構多いと思います。





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