『プレデター』シリーズまとめ　唯一無二の宇宙の狩人は、いかにして愛されてきたのか？

あの宇宙の狩人が帰ってくる！　プレデターと言えば、今やSFホラーの顔役の1人だ。好敵手を狩り殺すという趣味・信念・生き方のために地球にやってきて、完全武装の軍人はおろか、シュワちゃんやエイリアンといった超人や怪物と数多くの名勝負を繰り広げてきた。

すべての始まりは1987年だ。特殊メイクや映像技術の爆発的な進歩により、ハリウッドではSFホラーが空前の盛り上がりを見せていた。一方でシュワちゃんやスタローンの出現により、マッスルアクション映画もバブル時代に突入していた。この大流行の2ジャンルを組み合わせたのが『プレデター』（87）である。シュワちゃん率いる特殊部隊がジャングルで突如として謎の宇宙人に襲われる。シンプルなあらすじながら、凄い火薬量のアクション、凄い死に方、そして本当に謎のまま自爆するプレデター。何もかもが強烈だった。衝撃のデビューを果たして以来、プレデターは今なお戦い続けている。

気が付けば、プレデターの初登場から約40年（！）。「PREDATOR=捕食者」の名を持つ唯一無二の個性を持つ宇宙の狩人は、いかにして現在まで愛されてきたのか？　最新作『プレデター：バッドランド』（25）の公開を記念して、その偉大な足跡を振り返ってみよう。

Index

• 1.『プレデター』（87）107分
• 2.『プレデター２』（90）108分
• 3.『エイリアンVS.プレデター』（04）101分　※完全版109分
• 4.『AVP2 エイリアンズVS.プレデター』（07）94分　※完全版102分
• 5.『プレデターズ』（10）107分
• 6.『ザ・プレデター』（18）108分
• 7.『プレデター：ザ・プレイ』（22）99分
• 8.『プレデター：最凶頂上決戦』（25）86分
• 9.『プレデター：バッドランド』（25）107分

1.『プレデター』（87）107分

『プレデター』(c)Photofest / Getty Images

記念すべき第一弾。主演は泣く子も黙るアーノルド・シュワルツェネッガー、監督は後に『ダイ・ハード』（88）を手がけるジョン・マクティアナン。そこに『ターミネーター』（84）、『エイリアン2』(86)で名を馳せた特殊効果の達人、スタン・ウィンストンまでもブッキング！　80～90年代のハリウッドエンタメを代表する3人が揃った。ポスターなどのパッと見は完全にシュワちゃん主演のコマンドアクションであり、実際に序盤は完全にシュワちゃん印のアクション映画だ。ド派手なアクションは観客を魅了しつつ、安定のシュワちゃん映画だと、いい意味で油断させる。しかし、やがて中盤からプレデターによる人間狩りが始まると、観客は度肝を抜かれた。「まさかSFホラーだったとは！」そのうえ宇宙人は宇宙人でも、プレデターは特殊すぎた。繁殖や栄養補給のためではなく、自分らしくあるために人間を襲う（そして負けたら大自爆する）。二足歩行だけど限りなく全裸、それでいて謎の兵器で完全武装と、野蛮とSFの融合みたいなビジュアルもカッコよかった。プレデターの強烈な個性は観客を魅了し、全世界に多くのファンを生み出した。ある意味、歴史上はじめてシュワちゃんが存在感で食われた映画かもしれない。

もっと詳しく：アクション映画の巨匠ジョン・マクティアナン。『プレデター』を名作たらしめた悪夢のような現場とは

2.『プレデター２』（90）108分

『プレデター2』(c)Photofest / Getty Images

前作の好評を受けて制作された第二弾。監督は後にドラマ『24』（01）シリーズの監督として名を挙げるスティーヴン・ホプキンス。主演は80年代を代表するアクション映画にして、バディアクションの金字塔『リーサル・ウェポン』（87）で心優しい中年刑事を演じたダニー・グローヴァー。前作はジャングルだったが、今回は記録的な酷暑に襲われるロサンゼルスの街を舞台に、人間とプレデターの死闘を描いた。前作同様、冒頭からいきなり大銃撃戦が起きて刑事映画っぽく始まるが、中盤からジャンルはＳＦホラーへ。舞台は都会であるためか、前作以上にジャンル横断感が強い。また前作よりもプレデターのキャラクターや設定に深掘りも行われた。負け惜しみにも見えた自爆攻撃から一転、プレデターに勝った刑事を一族みんなで祝福するなど、プレデター側のカッコよさ／底知れなさに磨きがかかる。ビルの上で咆哮するキメのカットはあまりにも有名。そして本作に登場するプレデターの宇宙船の中には、『エイリアン』（79）のゼノモーフの頭蓋骨があった。単なるお遊びの要素だったが、これが後に重大な意味を持ってくる。

3.『エイリアンVS.プレデター』（04）101分　※完全版109分