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『プレデター』シリーズまとめ 唯一無二の宇宙の狩人は、いかにして愛されてきたのか?
7.『プレデター:ザ・プレイ』(22)99分

『プレデター:ザ・プレイ』(C)2022 20th Century Studios
監督は最新作『バットランド』でも監督を務めるダン・トラクテンバーグ。アメリカ先住民族とプレデターの死闘を描く、新世代プレデターの傑作。実は『プレデター』の新作だという情報を出来る限り隠して制作され、一時はプレデターが出ることも伏せたまま公開しようとしたという(実現してほしかった)。プレデターと先住民族のバトルは徹底したリアリティとロジカルシンキングで進行する。超ハイテク&超怪力の怪物を相手に、人間たちが有り物の武器、知恵、ガッツで立ち向かっている姿は、まさしく原点回帰。プレデターとの戦いを通じて成長していく女性主人公の人間ドラマも素晴らしく、プレデターのアクションもキレキレ(ハイテク盾や骨仮面といった武装もカッコよかった)。配信/批評の両面で大成功を収め、新シリーズ本格始動の狼煙となった。
もっと詳しく:『プレデター:ザ・プレイ』精緻な考証や現代的テーマが導くSFアクションの新たな可能性
8.『プレデター:最凶頂上決戦』(25)86分
『プレデター:最凶頂上決戦』予告
『ザ・プレイ』を手がけたダン・トラクテンバーグが送る連作アニメ作品。ヴァイキング、忍者、第二次世界大戦の飛行機野郎といった、色んな時代の達人たちとプレデターの死闘を描く。アニメということで、人間側の戦闘力が大幅にパワーアップ。実写では無理が出そうなアクロバティックなアクションが炸裂する。ヴァイキングのパワフルな戦い、忍者のスピード感、戦闘機のスケール感、どれも非常にクオリティが高い。それでいてプレデターもちゃんと勝てる気がしないほど強く、しかも「人間がプレデターの習性を把握する」→「その習性を利用して反撃」という、1作目からのセオリーもきちんと踏襲している。さらには1話の中できちんとドラマがあり、それが最終話に結実し、おまけに最後の最後でビッグすぎるサプライズまで…お見事としか言いようがない。あまりにもツボを心得ているので、「この監督、プレデター好きすぎだろ」と感服必至である。
9.『プレデター:バッドランド』(25)107分

『プレデター:バッドランド』2025年11月7日(金) 全国ロードショー 配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン © 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.© 2025 20th Century Studios. All Rights Reserved.
そして待望の最新作である。まだ観ていないので何とも言えないが、監督は『ザ・プレイ』『最凶頂上決戦』を手がけたダン・トラクテンバーグが続投。これだけで勝利が約束されていると言っていいだろう。そして本作最大の個性は、なんと主役がプレデターであることだ。すでに明かされているストーリーによれば、弱者と見なされて一族を追放されたプレデター“デク”が、文字通り半壊したアンドロイドのティア(エル・ファニング)と共に、危険な惑星をサバイバルするらしく…ワクワクが止まらないとは、まさにこのこと。ちなみにティアは『エイリアン』に登場する極悪企業ウェイランド・ユタニ社のアンドロイドだが、監督は「エイリアンとは絡まないよ」と明言している。とは言え、高度な情報戦が繰り広げられる昨今のハリウッド、実際に観るまではまったく油断できない。まったく新しいプレデター映画にして、プレデターの魅力をさらに深く掘り下げる1本だと期待しよう。
ざっと振り返ってみると見えてくるのが、『プレデター』シリーズの柔軟性だ。傭兵、刑事、エイリアン、ヤクザ、はぐれ者軍団、先住民、ヴァイキング、忍者、飛行機野郎……どんな相手と対峙しても、『プレデター』は『プレデター』である。もちろん、それぞれの映画に好き嫌いはあれど、観ている間に「なんの映画だっけ、これ?」とは決してならない。プレデターという軸は乱れないのだ。相手の個性を引き出しながら、自分の個性も見失わない。強烈な個性がある限り、プレデターの“名勝負数え歌”は続くことだろう。
文:加藤よしき
本業のゲームのシナリオを中心に、映画から家の掃除まで、あれこれ書くライターです。リアルサウンド映画部やシネマトゥデイなどで執筆。時おり映画のパンフレットなどでも書きます。単著『読むと元気が出るスターの名言 ハリウッドスーパースター列伝 (星海社新書)』好評発売中。