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『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』ポール・メスカル 異なるレンズを通して世界を伝えるのが俳優の役割【Actor’s Interview Vol.46】

©2024 PARAMOUNT PICTURES.

『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』ポール・メスカル 異なるレンズを通して世界を伝えるのが俳優の役割【Actor’s Interview Vol.46】

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アカデミー賞作品賞などに輝いた前作から24年。『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』で新たな主人公ルシアスを演じたのがポール・メスカルだ。1996年、アイルランドに生まれ、『aftersun/アフターサン』(22)でアカデミー賞主演男優賞にノミネートされるなど、若き天才俳優として躍進する彼がアクション超大作の主演を任された。


前作『グラディエーター』(00)では、ラッセル・クロウが演じた剣闘士マキシマスがローマ帝国の英雄となり、劇的な運命をたどったが、その息子ルシアスがアフリカで生き延びており、ローマに戻ってくる物語が展開していく。これまで舞台やドラマ、インディペンデント系の映画で才能を発揮してきたメスカルが、リドリー・スコット監督の下でどんな挑戦を課されたのか。演技をする喜び、自身の現在のキャリアについてなどメスカルに直撃した。



『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』あらすじ

ローマ帝国が栄華を誇った時代―。ローマを支配する暴君の圧政によって自由を奪われたルシアス(ポール・メスカル)は、グラディエーター(剣闘士)となり、コロセウム(円形闘技場)での闘いに身を投じていく。果たして、怒りに燃えるルシアスは帝国への復讐を果たすことができるのか。


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リドリーに「もっとリハーサルを」とお願いした



Q:ひとつ前の作品が山田太一原作の映画化『異人たち』(23)で、今回は役どころもジャンルもまったく異なります。こうした変化は俳優にとって喜びではないですか?


メスカル:その質問をされるとうれしい気分になります。なぜって僕ら俳優は、作品を観る人を驚かせるのが仕事だと思うからです。ただ積極的にサプライズを望んでいるというより、つねに「自分以外の誰かを演じている」という感覚でしょうか。そのキャラクターの言動がどうであれ、人間的側面を解き放つ作業が大好きです。『グラディエーターII』のルシアスと『異人たち』のハリーは両極端な役ですが、役の根元的な何かを発見するという共通点はありました。


Q:そもそも2000年の『グラディエーター』に対してどんな印象を持っていたのですか?


メスカル:同意見の人は多いと思いますが、『グラディエーター』は傑作の一本です。僕は15歳か16歳の頃、『エイリアン』(79)や『ブレードランナー』(82)といったリドリー・スコットの映画から多大な影響を受けました。『テルマ&ルイーズ』(91)は演劇学校時代に夢中になったのを覚えています。そして『オデッセイ』(15)は僕の父が大好きな映画。つまりリドリーは僕の家族にとって重要な映画人なのです。



『グラディエーターII 英雄を呼ぶ声』©2024 PARAMOUNT PICTURES.


Q:そのリドリー・スコットとの作品に初めて出演したわけですが、彼は俳優に演技を任せることで有名です。


メスカル:リドリーの仕事は90%がキャスティングなのでは……と思うくらい、彼は優れた俳優を起用しています。おそらく直感がズバ抜けているのでしょう。信頼した俳優を集めるので、彼はほとんどリハーサルをしません。不安を感じた僕は「もっとリハーサルをやってほしい」と頼んだくらいです。リドリーからの指示は短いながら的確で、僕はその言葉を頼りに演じ続けました。


Q:リドリーは、あなたを舞台の名俳優のようだと評していました。


メスカル:たしかにコロセウム(円形競技場)のアリーナで観衆に語りかけるシーンなど、舞台出身の僕には馴染み深いものでした。演じたルシアスがどんな感情なのか理解したうえで、あのような表現に挑むことは俳優として心から楽しかったです。


Q:一方でルシアスら剣闘士は猛獣を相手に闘うシーンがあり、CGIが多用される作品というのは俳優として新たなチャレンジだったのでは?


メスカル:じつはその点はあまり苦労しなかったんです。たとえばヒヒ(サル)を相手に闘うシーンは、ヒヒとそっくりの外見でヒヒと同じ動きをするスタントマンが相手になってくれました。またサイは3Dプリンターで作ったかのようなモデルが使われ、しかもまばたきする機能も備えている。だから僕らもリアルに反応できました。これもリドリーから僕ら俳優への配慮なんだと実感しましたね。



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