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Apple TV+「ディスクレーマー 夏の沈黙」アルフォンソ・キュアロン監督 映画作りと同じやり方で初のドラマに挑んだ【Director’s Interview Vol.450】
人間の複雑さと生きる意味への問いかけ
Q:あなたの過去の作品を振り返ると、多彩なジャンルを手がけているように感じられますが、何か芯の部分で一貫しているものはあるのでしょうか?
キュアロン:自分で断言することはできませんが、何かが一貫していることを願っています。私は映像作品の力を信じており、さまざまな方法や可能性を探究し、そこから学んだものを次の作品につなげようとしています。内容としての共通点であれば、人間の経験の複雑さ、生きることの意味への問いかけでしょうか。それが『ディスクレーマー』にも感じられますから。
「ディスクレーマー 夏の沈黙」画像提供 Apple TV+
Q:『ゼロ・グラビティ』から5年後に『ROMA』が作られ、さらにそこから6年で『ディスクレーマー』と、作品のインターバルが長いように感じます。もっと多くの作品を撮ってほしい気もしますが……。
キュアロン:基本的に怠け者なんです(笑)。映画作り以外の人生の時間も好きなので、そうなってしまうのかもしれません。実際に作品を構想し、脚本を書き、撮影をして編集まで終えると、そのプロセスがかなり長期間になるのも事実です。ただこれから先は、インターバルが短くなるといいですね。私も年齢を重ねたので今後の作品数は限られてきますが、もっと撮りたいという欲求は衰えていませんから。
Q:監督としてのあなたの原点となった作品は何ですか?
キュアロン:子供時代から映画館へ行くのが大好きでした。たしか7歳か8歳の頃、『自転車泥棒』(48)を観た時、明らかに他の映画とは違う衝撃を受け、そこからそのタイプの作品を観るようになった気がします。そして成長してフランスのヌーヴェルヴァーグに出会い、黒澤明を発見しました。大人になってからはハリウッドの巨匠たちと一緒に仕事をしたので、つまりイタリア、フランス、日本、アメリカの映画によって現在の私が形成されたことになりますね。
監督:アルフォンソ・キュアロン
『最も危険な愛し方』(91)で長編映画監督デビューし、アリエル賞オリジナル脚本賞を受賞。TVシリーズ「堕ちた天使たち」で米国進出、『リトル・プリンセス』(95)でハリウッドデビュー。『天国の口、終りの楽園。』(01)が評価され、アカデミー脚本賞にノミネート。『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(04)や『トゥモロー・ワールド』(06)を監督。『ゼロ・グラビティ』(13)で第86回アカデミー賞で7部門を制覇。『ROMA/ローマ』(18)で2度目の監督賞、外国語映画賞、撮影賞を受賞。
取材・文:斉藤博昭
1997年にフリーとなり、映画誌、劇場パンフレット、映画サイトなどさまざまな媒体に映画レビュー、インタビュー記事を寄稿。Yahoo!ニュースでコラムを随時更新中。クリティックス・チョイス・アワードに投票する同協会(CCA)会員。
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