芸能事務所タイタンのマネジャーである八木順一朗氏は、中学2年で初めて映画を作り、高校卒業までに計13本の作品を制作。そんな映画作りへの熱い想いを抱きながら、大学卒業後はタイタンに入社。以降、爆笑問題らのマネジャーを務めるかたわら、2020年に監督した長編作品『実りゆく』が第63回ブルーリボン賞の作品賞にノミネートされるという快挙を成し遂げた。
その八木監督が、同事務所所属のお笑いコンビ「春とヒコーキ」のぐんぴぃを主演に迎え、監督の出身地である岐阜県関市を舞台に、これまでのご当地映画の概念を変える作品を作り上げた。八木監督とぐんぴぃは、いかにして本作『怪獣ヤロウ!』を生み出したのか。2人に話を伺った。
『怪獣ヤロウ!』あらすじ
岐阜県関市。市役所の観光課に務める山田一郎(ぐんぴぃ)はある日、市長(清水ミチコ)から〝ご当地映画〟の製作を命じられる。しかしどこにでもある〝凡庸なご当地映画〟に疑念を持った山田は、かねてからの夢だった〈怪獣映画〉の製作を思いつく!いつも失敗ばかりでダメな自分を変えるため!パッとしない故郷を変えるため!怪獣で、全部をぶっ壊す!!しかしその想いは、市政を巻き込んだ大事件へと発展していく...!果たして山田は、夢だった〈怪獣映画〉を完成させることができるのか!?
Index
ドッキリだとオファーを信じなかった
Q:映画作りをテーマにされた理由を教えてください。
八木:僕は映画がなければ今こうなっていなかった。って、カウボーイの格好で言うのも変ですが(笑)。映画を見てこの世界に行きたいと思ったことは、やっぱりそこに夢があったから。物を作ることの楽しさや喜びはずっと感じてきましたし、その裏側を描くことは映画としても面白い。この映画を観た人たちが「何かやってみよう」と思ってくれるような、その一歩に繋がるといいなと。
Q:ぐんぴぃさんはほぼ当て書きだったそうですが、どのタイミングでオファーされたのでしょうか。
八木:最初の脚本が出来てキャスティングを考えたときに、どうしてもぐんぴぃにやって欲しかった。それでぐんぴぃに当て書きして全部書き直したんです。そこから正式にお願いしました。
Q:オファーが来たときはいかがでしたか。
ぐんぴぃ:嫌でしたね(笑)。「ドッキリだな」と思って信じませんでした。でも内容を聞くと面白い。「ご当地映画なのに怪獣映画を作っちゃうなんて面白いっすね」とまるで他人事のように言ってました。まさか本当に僕がやるとは思いませんでしたね。
八木:最初に話したのは居酒屋でしたっけ?
ぐんぴぃ:阿佐ヶ谷のめちゃくちゃ狭い焼鳥屋ですよ(笑)。
『怪獣ヤロウ!』©チーム「怪獣ヤロウ!」
Q:どのタイミングでドッキリではないと気づいたのでしょうか。
ぐんぴぃ:その後も八木さんが何度も来るので、どうやら本当らしいぞと。他の演者も決まってきて、麿赤兒さんや手塚とおるさん、菅井友香さんなど錚々たるメンツが集まっていた。「これは後に退けないやつだ」と覚悟を決めました(笑)。
Q:タイタンの太田光代社長からは何かお話はありましたか。
ぐんぴぃ:特に何もなかったですね。「痩せなさい!」とずっと前から言われていたのが、「映画をやるのなら痩せなさい」と更に乗っかってきたくらいですかね。映画が無くてもそう言ってますよねと(笑)。
Q:本作はタイタン挙げてのプロジェクトなのでしょうか。
八木:タイタンの子会社でファニーパンドラという映画会社が製作委員会で入っています。そういった意味では、タイタン全面バックアップという感じですね。
Q:タイタン所属の爆笑問題の太田さんには映画についてお話されたのでしょうか。
八木:前作『実りゆく』(20)のときは太田さんが観てくださって、いろいろとアドバイスをいただきました。今回はそれをクリアして、太田さんに喜んでもらえるように頑張ります!とお伝えしました。まだ本作はご覧になってないのですが、今回もお言葉をいただきたいですね。
ぐんぴぃ:太田さんの感想は楽しみですね。罵詈雑言な気もしますが…(笑)。