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『メガロポリス』フランシス・フォード・コッポラ監督 考えるべきは次世代の幸せ【Director’s Interview Vol.497】

© 2024 Caesar Film LLC All Rights Reserved.

『メガロポリス』フランシス・フォード・コッポラ監督 考えるべきは次世代の幸せ【Director’s Interview Vol.497】

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個人的な映画を作ること



Q:あなたが完璧に創造した世界に生きる俳優たちには自由と即興を与えているそうですが、自身の作品を作るにあたりコントロールと自由はどのようにバランスを取っているのでしょうか。


コッポラ:これは興味深いプロセスです。まずは俳優たちに呼吸をするように自由にやってもらい、次に脚本に忠実なバージョンをやってもらう。それぞれを撮影した上で比較して選んでいきます。新しい何かを取り入れて揺さぶることで物事が変わることがある。無になるときもあれば何かが吐き出されるときもある。そのバランスをうまく取っています。


Q:物語や教訓が様々な手段で昔から紡がれてきました。その表現手段として映画も存在しているわけですが、その魅力や意義をどのように捉えていますか。


コッポラ:映画は演劇と文学の子供のような位置にあります。人間の得意とする芸術が、テクノロジーの進化を伴って映画になりました。ドイツのバーベルスベルグ・スタジオで、ムルナウという作家がサイレントで撮った時代があり、その後音の出る作品につながっていきました。そして今では、私達の人生を照らす役割を担うまでになりましたね。



『メガロポリス』© 2024 Caesar Film LLC All Rights Reserved.


Q:映画作りにおいて、当初頭に描いた内容と完成した映画は同じですか。それとも当初の想定とは違う姿で生まれるものですか。


コッポラ:その通りです。いつも違う姿で生まれます(笑)。


Q:それはあなたにとってポジティブなことでしょうか。


コッポラ:通常はポジティブだと言えますが、映画制作にはいろいろな状況があって、どうしても自分のコントロールの及ばない部分が出てくる。下された決定と自分の意図にズレが生じることもありますが、そういったいろいろな経験を経た上で、最終的に映画が何らかの生命を宿して息づいてくれれば、それで良いのです。


Q:あなたのような映画を作りたいと思っているフィルムメーカーや若者たちが世界に多くいます。何かアドバイスがあれば、お聞かせください。


コッポラ:出来るだけ個人的な映画を作ること。これについてはクエンティン・タランティーノが素晴らしことを言っていましたね。「自分でも恥ずかしくなるくらい、自分に近い映画を作ること」だと。まさにその通りですね。



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脚本/製作/監督:フランシス・フォード・コッポラ

1939年アメリカのミシガン州に生まれ、ニューヨークで育つ。1963年、ロジャー·コーマン監督のもとで低予算映画『ディメンシャ13』(63)を初監督し、撮影スタッフだったエレノア・ニールと知り合い結婚。のちに長男ジャン=カルロ、次男ロマン、長女ソフィアを授かる。キャリアの初期、『パットン大戦車軍団』(70)でアカデミー賞脚色賞を含む7部門を受賞。その後ジョージ·ルーカスと共に映画製作会社「アメリカン·ゾエトロープ」を設立する。ルーカスの勧めでイタリア系マフィアを描いた『ゴッドファーザー』(72)を映画化し、続編『ゴッドファーザー PARTII』(74)がアカデミー賞6部門を受賞。『カンバセーション…盗聴…』(74)もカンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを獲得した。1979年のカンヌ国際映画祭には『地獄の黙示録』を未完成のまま出品するも2度目のパルム·ドールを獲得。その後『ワン·フロム·ザ·ハート』(82)、『アウトサイダー』(83)、『ランブルフィッシュ』(83)、『コットンクラブ』(84)、『ペギー・スーの結婚』(86)、『タッカー』(88)を世に送り出した。1990年、前作から16年の歳月を経て『ゴッドファーザー PARTIII』(90)を完成させ、アカデミー賞とゴールデングローブ賞で監督賞を含む7部門にノミネート。その後は、アカデミー賞3部門受賞の『ドラキュラ』(92)、『ジャック』(96)、『レインメーカー』(97)を監督したのち第一線から離れ、1983年から温めていた本作『メガロポリス』(24)の企画を進めていく。10年後、『コッポラの胡蝶の夢』(07)、『テトロ 過去を殺した男』(09)、『Virginia/ヴァージニア』(11)などを作り上げた。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。




『メガロポリス』

6月20日(金)全国公開

配給:ハーク、松竹

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