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『次元を超える』豊田利晃監督 プロデューサーと監督を兼任、作り上げたのは念願のSF映画【Director’s Interview Vol.524】

『次元を超える』豊田利晃監督 プロデューサーと監督を兼任、作り上げたのは念願のSF映画【Director’s Interview Vol.524】

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法螺貝から修験道・密教の世界へ



Q:修験道や密教の細かい描写も出てきます。監督はその辺の造詣が深いそうですね。


豊田:僕が修験道や密教と関わりだしたのは、単純に法螺貝を吹きたかったから。ヤフオクで法螺貝を買って吹いてみたのですが、これが気持ちいいんですよ。知り合いに宮下さんという日テレのプロデューサーがいるのですが、実は彼、修験道の法螺貝の師匠なんです。そのことを思い出して連絡してみたら、「今度、吉野の山に登るから監督も一緒に来ませんか」と。それがきっかけで僕も修験道・密教の世界に入っていきました。とにかく面白くて色々と学びましたね。


Q:法螺貝に興味を持ったきっかけはあったのでしょうか。


豊田:中上健次の「火まつり」という小説のモデルにもなった、和歌山県の新宮市で開催される「御燈祭り」という祭りがあるのですが、僕はそこに15年くらい通っているんです。毎年2月6日に白装束を着た二千人くらいの男たちが山に登って、松明の煙が充満するくらいで山門が開き、そこから全員で一気に崖を駆け下りる。喧嘩も起こるような危ない祭りなのですが、その開門の合図が法螺貝なんです。初めて聞いた法螺貝はそこでしたね。



『次元を超える』©次元超越体/DIMENSIONS


Q:法螺貝の音は相当大きそうですね。


豊田:音はデカいですよ。今日持って来れば良かったな。


Q:家では気軽に吹けないですね。


豊田:今は栃木の山の中に住んでいるので、周りに人がいないから24時間吹けるんです(笑)。法螺貝は横隔膜の上げ下げで音を鳴らすので、吹くのに10年かかると言われるのですが、僕はすでに習得して師匠に「上手い」と言われています(笑)。法螺貝は密教法具なので、印なんです。映画ではそれを使えないので、自分で考えて新たな印を作りました。まあ音程みたいなものですね。


Q:映画の中で鳴っている法螺貝の音は、どうやって収録されたのでしょうか。


豊田:先ほど話した宮下さんともう1人別の方の2人にスタジオ来てもらって、そこで収録しました。この二人は日本の法螺貝吹きのベスト3に入る人たちですね。映画のなかで(千原)ジュニア演じる阿闍梨が吹く法螺貝と、(松田)龍平演じる新野風が吹く法螺貝は、それぞれ2人に吹き分けてもらっています。初めて聞く人はわからないと思いますが、聞き慣れてくると違いがわかるんです。ピッチの取り方や音程、息の使い方が全然違いますから。




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