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『次元を超える』豊田利晃監督 プロデューサーと監督を兼任、作り上げたのは念願のSF映画【Director’s Interview Vol.524】

『次元を超える』豊田利晃監督 プロデューサーと監督を兼任、作り上げたのは念願のSF映画【Director’s Interview Vol.524】

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短い映画が好き



Q:96分という時間は、脚本段階で決まっていたのでしょうか。


豊田:僕ね、短い映画が好きなんです。90分が映画として一番気持ちいい尺ではないかと、デビュー当時からよく話していました。人間の生理的なこともあると思うんです。映画を観に行って2時間超えてくると、どうしてもトイレに行っちゃう。そういうことなく一気に観られるものを作りたい。でも一番気持ちいいのは45分ぐらいだと思いますね。学校の授業時間が多分それくらいで、人間の集中力が持つ時間が45分くらいかなと。


Q:編集段階で想定の尺と変わることはありますか。


豊田:そういうのはないですね。尺感は最初からわかります。僕の脚本を読んだ人は「これで一時間超えるの?」と大体言うのですが、その辺はちゃんと計算していて、ハイスピードが入ったり、間があったりと、90分くらいになることが自分の体感でわかっている。それを80分にするのか、100分までいくのか、編集で多少変わることもありますが、今回は切ったカットはありません。昔、助監督をやっているときに「撮ったら切るな、切るなら撮るな」という標語を先輩の助監督が立てていました。無駄な労力を使わせるなと言うことですね。



『次元を超える』©次元超越体/DIMENSIONS


Q:CGや特撮もありましたが、そういった作業は今回が初めてでしたか。


豊田:僕の映画はデビュー作からCGがちょこちょこ入っているんです。雨がナイフに見えるとかね。ただ、CGアニメは今回が初めてでした。「ケルマン」と名付けた未知の惑星まで、地球からワンカットで一気に飛んで行くカットがあるのですが、そこのCGアニメは半年かかりました。CGが難しいのは、やり直しが簡単にできないところ。やり直そうとすると一から作り直しで、レンダリングもまた一ヶ月かかっちゃう。結構シビアなので大変でしたね。


また、あまりにもCG然としていると、よくある映像になってしまうので、そこは人間の力を加えたいなと。円谷プロの特撮の巨匠をお招きして、液体を使って撮影したものをはめ込んでいきました。そこの特撮部分は、樋口真嗣さんがプロデュースしてくれたんです。樋口さんとは共通の友人がいて、奈良の東大寺で年1回「お身拭い」っていう清掃行事があるのですが、そこでも度々お会いしていました。樋口さんはミニチュア担当でいつもミニチュアの掃除をしていましたね。まぁ、そういうつながりがあったので、それで一席設けて「お願いします!」と。ただ、樋口さんも『新幹線大爆破』(25)がちょうど始まる頃で「100%参加は出来ない」と言われたのですが、いろんな特撮のスタッフを紹介してもらい、撮影場所も樋口さんが決めてくれるなど、色々とサポートしてもらいました。




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