参考資料には寄せない
Q:ミスター・ケルマン演じるマメ山田さんの存在感とインパクトが強烈で、千原ジュニアさん演じる阿闍梨など、キャラクター造形が素晴らしいです。ビジュアルも含めてそれぞれのキャラクターはどのように作られたのでしょうか。
豊田:今回は衣装の澤田石和寛の力が大きいですね。ジュニアはテレビ出演があるので、髪の毛を切ったり伸ばしたりは難しい。それでカツラをかぶせることにして、それに合わせて衣装の色も決めていきました。マメさんも同じように、その存在としての造形をまず作り上げるんです。それを澤田石と一緒に具現化していく。なかなかぶっ飛んだ造形なので、“浮かない”ように見せるのが難しい。現場でも試行錯誤しましたね。そこはカメラマンの槇憲治の力も大きいかな。全体的に“くすんだ”感じで撮ってくれたので、そのおかげでしっくりきた部分はありますね。
Q:窪塚洋介さんと松田龍平さんの存在が、この映画を説得力のあるものにしていますが、お二人には本作についてどのような説明をされたのでしょうか。
豊田:窪塚は脚本を読んで「わかった」と。こっちがやろうとしていることがちゃんとわかっていた。龍平が演じた“新野風”っていう殺し屋は『I'M FLASH!』(12)と同じなんです。それで「俺がやるしかないじゃん」と。それ以外は何も言わなかったですね。ただ、二人とも出来上がった映画を観て「こういう映画だったのか...」と驚いていました(笑)。特に龍平は「すごい!」って喜んでいましたね。
『次元を超える』©次元超越体/DIMENSIONS
Q:スタッフの理解度はどうでしたか。
豊田:「本当にわかってんのかな?」というのはあったかもしれません(笑)。カメラマンの槇はあんまりわかってなかったと思うのですが、美術の佐々木尚と衣装の澤田石、そして僕の3人で世界観を作り上げていった感じでした。
Q:世界観を作るにあたり参考にしたものはありましたか。
豊田:参考資料は山のようにありましたが、それには寄せていません。例えば宇宙服は、いろんな映画のものを並べてみると黒色のものがないことがわかった。それで宇宙服の色は黒にしました。そういう資料の使い方はしていました。