親と子の絆、家族の関係に興味があった
Q:実在の場所から映画のアイディアを発展させていくことは、過去にもあったのでしょうか。
ジャン=ピエール:ある場所の話を聞き、そこから着想を得て話を書いたことはあっても、ある特定の場所をもとに映画を作ったのはこれが初めてです。しかも今回は、物語のインスピレーションを得た母子支援施設で撮影も行いました。こうしたことは過去にありませんでした。
そういえば以前、日本である事件の話を聞き、それが映画の題材となったことはありました。『息子のまなざし』(02)が日本で公開されることになり、そのPR活動のため来日した際に弁護士の女性から聞いた話をもとに、数年後、ある映画をつくることになりました。それが『少年と自転車』(11)です(注:2003年にダルデンヌ兄弟が来日した際、『息子のまなざし』の公開にあわせて「少年犯罪」をテーマにしたパネルディスカッションが行われた。そこで石井小夜子弁護士が、ある暴行事件を起こした少年の話をし、そこから監督たちは『少年と自転車』の話を生み出したという)。

『そして彼女たちは』ⓒLes Films du Fleuve - Archipel 35 - The Reunion - France 2 Cinéma - Be Tv & Orange - Proximus - RTBF (Télévision belge) / PhotoⓒChristine Plenus
Q:過去作のお話が出たので、ぜひ『ある子供』(05)についても話を聞かせてください。『ある子供』は、『そして彼女たちは』と同じように10代の若いカップルが子供をもうける話でしたが、そこで主に描かれていたのは、父親になることを受け入れられずにいる少年の方でした。以前は若い父親を描いたので、今回は母親の方を描こうという意識があったのでしょうか。
リュック:そういう意識はまったくありませんでした。私たちはただ、親と子供の絆、家族の関係を描きたいと思っていました。家族といっても完璧な家族ではありません。崩壊しかけている家族や、親のいないまま育った子供たち、逆境にありながらも自立しようと努力し、互いに助け合おうとしている人たちに興味がありました。この映画を作るうえで何より大きかったのは、母子支援施設で出会った実際の若い母親たちの存在です。彼女たちとの出会いから映画が生まれたのです。