4.『モアナと伝説の海』(16)107分
ロックさんと言えば物事を殴って解決する役が多いイメージだが、一方でキャリア初期から鉄拳制裁映画以外にも関心を向けていた。『ウィッチマウンテン/地図から消された山』(09)や『妖精ファイター』(10)などは、いわゆる “ご家族そろって楽しめる映画”である。シュワちゃんやスタローンの時代から、このジャンルで成功することは多くのアクションスターの悲願でもある。ロックさんがそこを目指すのも当然だが……そこは到達するのが難しい場所でもある。だって一番輝くのが人を殴っている時なのだから。しかし、ロックさんは諦めなかった。
ロックさんのファミリー映画志向が最高の形で実現したのが『モアナと伝説の海』(16)である。海を舞台にしたファンタジー・アドベンチャー映画で、ロックさんは主人公の相棒になる半分神様/半分人間の「マウイ」を演じた。ただし、これがロックさんにとって未知への挑戦であり、ハンパなきプレッシャーに晒されたことは想像に難くない。
本作は「声優」であるから、ロックさん最大の武器であるゴリゴリに鍛えた肉体ではなく、純粋な演技で勝負する必要があった。そして慣れない歌唱シーンまであり、しかもディズニーアニメだから、ハンパなクオリティは許されない。戸惑うことも多かったようだが、しかしロックさんはやってのけた。持ち歌の「俺のおかげさ(You’re Welcome)」で、多くの観客のハートを鷲掴み。こうしてロック様はホブスに続く新たな当たり役を手にした。当然ながら『モアナと伝説の海2』(24)にも続投し、さらに実写版『モアナと伝説の海』(26)にもマウイ役で出演が決定している。果たして実写であの感じをどう演じるのか? 期待して待ちたい。
5.『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』(16)119分
2010年代も半ばに差し掛かると、ロックさんはすっかり大スターになる。演技力も知名度もうなぎ登りで……と、こうなると発生する現象がハリウッドスター大喜利である。かつてシュワちゃんが「シュワちゃんが双子!」「シュワちゃんが妊娠!」といった、「シュワちゃんに何をさせたら面白いか?」大喜利で傑作・快作をものにしたように、「ロックさんに何をさせたら面白いか?」大喜利が始まった。その路線の最高傑作が『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』だろう。個人的には「ロックさんがゴリラとマブダチ?」で作られた『ランペイジ 巨獣大乱闘』(18)も捨てがたいが、今回はこっちで行きたい。そんな『ジュマンジ~』のテーマは非常に端的、つまり「ロックさんの中身が冴えないオタク男子高校生だったら?」
高校生たちが呪われたTVゲーム“ジュマンジ”の世界に吸い込まれ、現実とは全く違うアバター姿で冒険することに。冴えない女子はセクシー美女に、タフなアメフト部は背の小さい男に、人気者の女子はジャック・ブラックに、そしてオタク高校生はドウェイン・ジョンソンに! ノンストップの冒険活劇を通じて、普段は住む世界が違う高校生たちが友情を深めていく姿を描いた、笑って泣ける青春コメディ快作に仕上がった。同作は設定勝ちというか、もうロックさんは何をやっても面白い状態である。メッチャクチャに不器用な(けれど妙にリアルな)キスシーンは劇場が爆笑に包まれた。続編『ジュマンジ/ネクスト・レベル』(19)も作られ、完結編も撮影に入ったという。
同時に、この頃からロックさんはアクションスターとして完全な円熟期に入った。ひたすらにワイルドでタフな男も演じられれば、二枚目半やコメディも余裕でこなす。ハリウッドのエンターテインメント超大作に欠かせない人物になったと言える。こうして足場を完全に固めたうえで、ロックさんは次なる新境地へ挑むのだった。
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