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『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』リン・ラムジー監督 描いたのは“ラビットホール”に落ちる感覚【Director’s Interview Vol.558】

© 2025 DIE MY LOVE, LLC.

『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』リン・ラムジー監督 描いたのは“ラビットホール”に落ちる感覚【Director’s Interview Vol.558】

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スタンダートサイズでの撮影がもたらしたもの



Q:グレースの浮気相手になるバイクの男が来るシーンなどでは、手前に草むらがあってそこから覗き見るような、奥行きを感じさせるショットが多くありました。


ラムジー:グレースにとって彼は、どこかファンタジーのような存在。ちょっとした妄想の恋人なんです。「このキャラクターは実在するのか」「彼女にとってどれくらいリアルなのか」という感覚を、被写界深度やレイヤーを使って作り出していきました。


Q:圧迫感のある1.33:1のアスペクト比やコントラストの強いフィルム映像など、ビジュアル設計について撮影監督のシーマス・マッガーヴェイとはどんな話をされましたか。


ラムジー:最初はシネスコで撮ろうと思っていたんです。でもロケハンに行ってみると、家がとても四角だったので、キャラクターたちがフルフレームで出入りするのを見せた方が良いなと。少し舞台のような感覚もあり、それも面白かった。それでシーマスに、スタンダードサイズでの撮影を提案しました。スタンダートサイズはポートレートのフォーマットでもあるので、顔を撮るのにも適しているし、空間が迫ってくるような圧迫感も出る。このフォーマットで撮るのは初めてだったので、私にとっては新しい言語を使うようなものでしたが、ロケーションと映画のフィーリング、そして非常に内面的な作品であることも踏まえてこのサイズに決まりました。



『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』© 2025 DIE MY LOVE, LLC.


また、テスト撮影をたくさん行い、デイ・フォー・ナイト(昼間に夜のシーンを撮る手法)で撮ることに決めました。そのおかげで、夜のシーンでありつつも、まるで夢の中にいるような画になりました。浮気相手が実は妄想ではないかと思わせたり、性的な部分が強いキャラクターの表現にも効果があったと思います。


今回は色彩を強調するために部分的にエクタクローム(フィルム)で撮影したのですが、「不思議の国のアリス」のウサギの穴(ラビットホール)に落ちていくような感覚がありました。映画の中の要素が強烈になっていくにつれて、色彩もより強烈になっていく。そうやって、キャラクターのための言語や表現を見つけていく作業は本当に楽しかったですね。


Q:まさに“ラビットホール”に引き込まれるように、現実と幻想、時系列が入り乱れる構成となっていますが、順番や尺は脚本の時点で細かく整理されていたのでしょうか。


ラムジー:その構成は脚本の段階から存在していました。編集段階では音響担当とも話し合い、グレースが悪化し始め現実感を失い始めるにつれて、音がより強調されるように設計しました。


でも、すべてがファンタジーであるようにはしたくありませんでした。根底には現実があると思っています。彼女は家に閉じ込められて退屈しきっていて、世界をよりユニークなものに作り変えている。彼女の心が螺旋を描いてラビットホールに落ちていくにつれて、映画全体が万華鏡のようになっていくんです。



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監督/脚本:リン・ラムジー

1969年12月5日生まれ、スコットランド・グラスゴー出身。イギリス国立映画テレビ学校の卒業制作として制作した短編『Small Deathes』(未)で、第52回カンヌ国際映画祭審査員賞受賞。『Gasman』(98/未)で再びカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞、加えて英国スコットランドアカデミー賞の最優秀短編賞に輝く。長編映画デビューとなった『ボクと空と麦畑』(99)は第 52 回カンヌ国際映画祭ある視点部門で上映され、数多くの賞を受賞し華々しい監督デビューを飾る。『モーヴァン』(02)では、第55回カンヌ国際映画祭でCICAE賞とユース賞を受賞。『少年は残酷な弓を射る』(11)でも第64回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門に出品されたほか、ロンドン映画祭作品賞受賞や英国アカデミー賞での各賞ノミネートなど各映画賞を席巻。『ビューティフル・デイ』(17)では、第70回カンヌ国際映画祭脚本賞および主演男優賞受賞した。



取材・文: 香田史生

CINEMOREの編集部員兼ライター。映画のめざめは『グーニーズ』と『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』。最近のお気に入りは、黒澤明や小津安二郎など4Kデジタルリマスターのクラシック作品。




『DIE MY LOVE/ダイ・マイ・ラブ』

6月12日(金)より全国公開中

配給:クロックワークス

© 2025 DIE MY LOVE, LLC.

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