世界的スーパースター、マイケル・ジャクソンが旅立ってから早17年。ついに彼の伝記映画が完成した。いずれは誰かが作らねばならなかったこの映画を手掛けたのは、『ボヘミアン・ラプソディ』(18)を成功に導いたプロデューサー、グレアム・キング氏。マイケルの甥であるジャファー・ジャクソンをタイトルロールに大抜擢、『トレーニング デイ』(01)『イコライザー』シリーズ(14〜23)のアントワーン・フークアを監督に据え、音楽伝記映画・世界興収1位の記録を打ち立てる大ヒットを生み出した。※それまでの1位は同氏が手掛けた『ボヘミアン・ラプソディ』。
伝説的スターの映画化というプレッシャーを跳ね除け、この一大プロジェクトを見事に大成させたグレアム・キング氏。彼はいかにして『Michael/マイケル』を作り上げたのか。来日したキング氏に話を伺った。
『Michael/マイケル』あらすじ
圧倒的な歌唱力と革新的なダンスパフォーマンスで、アーティストの枠を超え、全世界的なアイコンとなった“キング・オブ・ポップ”=マイケル・ジャクソン。彼は幼いころから兄弟と共に歌い続けていた。製鉄所で働く父・ジョセフは野心家で、「人生は勝つか負けるかだ」と言い放ち、息子たちに厳しいレッスンを課し、兄弟グループ“ジャクソン5”としてデビューさせた。彼らをみた聴衆は誰しもマイケルの圧倒的な歌声に酔いしれた。評判は広まり、ステージからステージへ人気は急上昇、モータウン・レコードと契約し、スターダムを駆け上がっていく。しかし、喝采の裏で彼はまだ一人の少年だった。孤独と重圧の中、唯一無条件の愛で支え続けたのが母・キャサリンだった。やがて青年となったマイケルに運命の出会いが訪れる。音楽史にその名を刻む名プロデューサー、クインシー・ジョーンズ。彼との出会いによってマイケルはグループの枠を超え、ソロアーティストとして前人未踏の音楽的創造性を爆発させていく。『オフ・ザ・ウォール』『スリラー』、歴史的メガヒットアルバムと名曲の数々を生み出し、全世界の寵児となっていくマイケル。しかし、その栄光の裏には、早熟の天才ゆえの孤独感、強権的な父親の呪縛、家族への愛と自分の中に溢れるビジョンとの間で葛藤する一人の人間の姿があった…そして今、音楽史を塗り替える存在——“キング・オブ・ポップ”伝説誕生の瞬間へ。
今回は動画版インタビューも公開! あわせてお楽しみください!
Index
伝説的人物の素顔を伝えたい
Q:マイケル・ジャクソンの伝記映画をプロデュースしようと決断した、その理由を教えてください。
キング:マイケル・ジャクソンが生きた時代を知らない世代に、私たちの世代が経験したように彼を見せたかった。彼の芸術性や人柄、そしてステージの上や裏でどんな人間だったのかをね。
Q:『ボヘミアン・ラプソディ』での成功や経験は、今回どのように生かされていますか。
キング:今回は『ボヘミアン・ラプソディ』と同じトーンにしました。伝説的アーティストに焦点を当て、彼らの内面に深く入り込む。フレディやマイケルの素顔を見せることで、私たちが当時熱狂していたものをノスタルジーとして楽しんでもらうだけではなく、スーパースターたちがどのように生き、どんな人物だったのか知ってもらえます。
Q:マイケルの人生のどこにフォーカスして描くのか。この重要な要素はどのように決められたのでしょうか。
キング:そこを決めるのには何ヶ月もかかりました。観客を惹きつける出来事を選び、それを物語に落とし込むには時間がかかる。時には何年もかかります。これはドキュメンタリーではありません。あくまでもエンターテイメントでなければならない。エンターテイメントにはドラマや葛藤が必要で、「第三幕」も必要。主人公が人生を変える決断をする瞬間を描かなければならない。そのためには有名な出来事を選ぶ一方、削らなければいけない物語も生まれる。有名な出来事をコピーすればいいわけではない。観客に伝説的人物の素顔を伝えたいのです。

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例えば、マイケルの寝室での一場面や動物たちと過ごした日常。そうした場面は、メディアには見せなかった彼の一面や人間性を映し出しています。私たちは多くの時間をかけて彼を研究しました。彼の心理、人生、生き方。何を食べていたのか、何を飲んでいたのか、カメラの外ではどんな服を着ていたのか。あらゆることを何年もかけて調べ尽くしました。
この企画は『ボヘミアン・ラプソディ』の直後から動き始めたのですが、本当に長い年月がかかりましたね。
Q:世界中に注目されるプロジェクトを動かすにあたり、プロデューサーとして最もプレッシャーを感じた瞬間はどこでしたか。
キング:世界中がこの映画を待ち望んでいるというプレッシャーは、とてもエキサイティングでした。もちろん、マイケルにどれほど多くのファンがいるか、そして彼らがどれほどマイケルを愛しているかも知っています。だからこそプレッシャーは毎日感じていました。まずはファンが楽しめる作品にしなければいけない。そして一般の観客にも、この物語を楽しんでもらいたい。それらが毎日重荷のようにのしかかってきました。それでも、自分に対してクリエイティブな挑戦を課したかったのです。
ただ、本当に実現可能なのか? 脚本、キャスティング、すべてを、赤ちゃんのように一歩ずつ、レンガのように一つずつ積み上げていきました。その過程で、魔法のような出来事も起こりました。ジャファー・ジャクソンとの出会いもそうですね。全てが神秘的でやりがいのある作業でした。