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『四月の余白』吉田恵輔監督 令和に持ってきた、自分の中学時代 【Director’s Interview Vol.570】

『四月の余白』吉田恵輔監督 令和に持ってきた、自分の中学時代 【Director’s Interview Vol.570】

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システムみたいなものへの疑問



Q:吉田監督が持っている若者や若者の未来への共感みたいなものって、どこから来てるんですか。


吉田:共感?


Q:共感というか、中学生だったらまだ間に合うと思うってことは、そこにちょっとは希望を感じているわけじゃないですか。


吉田:希望というよりか、早いうちにやっておかないとヤバいよと思ってるだけなんだけど。うーん、なんでしょうね?


Q:これまでの映画では、社会のことも描きつつ、どちらかというと個人の気持ちを中心に描かれていた気がするんです。ただ今回の映画だと、今の子どもたちのことを考えて、そこに気持ちを寄せようとしている。なんならすごく優しい人じゃないですか。


吉田:そうなの?(笑) でも、やっぱり治安が悪いと感じてるからなんですよ。今住んでるところも、近所にいるのはヤンママ、ヤンパパの子供たちなのよ。俺が行ってるもつ焼き屋さんとかでも、お母さん、お父さんがタバコぷかぷか吸いながら酒飲んでる横でさ、ずっと小学生の子どもがスマホゲームしてて。それが中学校くらいになるとだんだんヤバくなってくるみたいなことをリアルタイムで見てきているから。まあそれは親の教育が悪いんだけど。でも子どもはその環境しか知らないから、サラブレッドみたいにヤバくなっていくんですよ。まともになるとしたらスポーツ推薦を狙っている子たちくらいじゃないですか?



『四月の余白』©2025 N.R.E


Q:吉田監督がヤンキーカルチャーの中にいた人だっていうのはこれまでの映画の端々からも見えていましたが、荒れていた中学校ではどういうポジションだったんですか。


吉田:俺って中学校で初めて友だちができた人なんですよ。


Q:小学校の時は友だちがいなかった?


吉田:そう。人付き合いが苦手だったというか、あんまりコミュニケーションができなくて、みんなで遊ぶとか、サッカーとかも参加しない子だった。だから中学校に入ってからも、わりと不良文化にいたけど、みんながタムロしてるときに急にいなくなったり、また戻ってきたりとか、結構自由人な感じだったんですよ。今日は暴走族のところにいるけど、翌日はカラーギャングの赤にいて、その翌日青にいてとか(笑)。オールマイティカードみたいな感じでいろんなところにいましたね。だから、基本的には変な人だと思われてたと思う。


Q:そうやっていろんなクラスタを回っていたことが今回の作品に活かされていたりしますか。


吉田:海斗みたいなのは結構いましたね。人付き合いがうまくて、弱い者には強く、みたいな。人付き合いはうまいけど、人の気持ちがわからない感じ。こういうコバンザメみたいなやつって結局そこに執着するから、弱い者は徹底的にいじめて、本当に人の家に火をつけたりする。そういう連中も結構見てきましたね。


Q:劇中のセリフで放火の話が出てくるのもそういう体験からなんですね。でも『四月の余白』にはそういうヤバい子どもたちが更生できるのか?という問題提起がありますよね。


吉田:システムみたいなものへの疑問が大きいのかもしれないですね。SNSの問題とかと近くて、いわゆるコンプラ的なものだとか、教育現場であんまり怒っちゃダメだとか、パワハラだなんだとかもそうだけど、そのヤバい子どもに対しては、今の教育のフォーマットがあまり合ってないなっていうことがすごく気になったんですよね。暴力はいけないと思いますよ。体罰はいけないと思うけど、ある種の威圧が役に立つ瞬間って結構あるから(笑)。ときには大人だって本気で怒るんだぞっていうところは見せないと。それは親子関係でもそうだと思うけど、親父にマジで怒られたみたいな感じと、ただ単に「わかるか?」って説得されるのは、たぶん違うだろうなっていうか。熱量みたいなものがパワハラ扱いされるのはどうかとはわりと思ってますね。でも、そもそもなんでコレを作ろうと思ったのか、言われてみたら、よくわかってないですね。





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