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『四月の余白』吉田恵輔監督 令和に持ってきた、自分の中学時代 【Director’s Interview Vol.570】

『四月の余白』吉田恵輔監督 令和に持ってきた、自分の中学時代 【Director’s Interview Vol.570】

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机のなかみ』(06)で商業デビューを飾ってから20年。吉田恵輔監督は一貫して自分が作りたい作品だけを監督してきた稀有な存在と言える。その作風は不謹慎でふざけていて、可笑しくて哀しくて、ときに容赦がないほど残酷で、さまざまにスタイルを変えながら、常に愚かで弱い人間たちに注ぐ愛情であふれている。


最新作の『四月の余白』では、手のつけられない不良中学生と、更生施設を運営する元不良の中年男を軸に、今の時代の教育現場の歪みに斬り込んでみせた。高く評価された前作『ミッシング』(23)に続いてシリアスなタッチの人間ドラマを描いた心情について、監督の話を伺った。


※吉田監督の『よし』は土に口です。

※本記事は主人公の行く末に言及しているため、映画未見の方はご注意ください。



『四月の余白』あらすじ

元半グレで元受刑者の西健吾(一ノ瀬ワタル)は、更生施設「みらいの里」を運営し、非行少年や引きこもり、家庭に問題を抱える子供たちと向き合っている。中学校教師の草野冬子(夏帆)は荒れた教室に苦悩し、「対話ではどうにもならいない子供とどう向き合えばいいのか」と自問していた。なかでも他者の痛みを理解できず、暴力や犯罪を繰り返す生徒・澤海斗(上阪隼人)に頭を抱えていた。冬子は「みらいの里」の存在を知り、両親に伝えて海斗を施設へ預ける決断をする。反発し暴れる海斗だったが、共同生活の中で次第に変化の兆しを見せ始める。しかし彼は施設を脱走し再び事件を起こして逮捕される。さらに西の過去も明るみに出て、施設の運営は揺らいでいく……。


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令和に持ってきた、自分の中学時代



Q:たしか『空白』(21)を作ったタイミングで「今度は教育の映画を作るんだ」っておっしゃっていて、吉田監督が言ったことはたいてい実現するし、今回もちゃんと形になっていて感心するんですが、どうして教育問題を扱おうと思ったんですか?


吉田:もとからちょっとは思ってたんだけど、『空白』を撮った時に、マスコミと学校をヌルくしか描くスペースがなかったことが気になっていたんです。一応学校教育とかマスコミにも触れたんだけど、ほんの外側しか描けなかったという感覚があって、次はちゃんとやりたいと思ったんですよね。マスコミや報道については前作の『ミッシング』でしっかりやろうと思って、次は教育でもちゃんとやろうと思って作ったのが『四月の余白』。だから『空白』『ミッシング』『四月の余白』の三作品を合体させたら、ちゃんと描いているでしょうって言えるのかなと。


Q:ただ『ミッシング』で扱ったSNSとかマスコミについては、誰もが普段から肌感覚として感じてるものがあると思うんですが、教育問題となるとそれなりに専門性が高くなりますよね。もともと関心があったんでしょうか?


吉田:関心があったというよりは、俺の中学校時代のまんまのクラスを今の令和の時代に持ってきたとしたら、たぶんどうにもならないだろうなと思ったんですよね。


Q:今の教育のやり方では通用しない?


吉田:ですね。たぶんですけど、当時の俺とか自分の周りとかも含めて、マジでどうにもならないと思うから。自分が中学生の頃の状況を、今の令和の教育のあれやこれやでどう対応しますか?っていうのをちょっとシミュレーションしてみたんです。あと、学校の先生をやってる友だちもいるし、不良とか引き込もりの子とかのための施設で働いてる人と飲んだりもして、彼らの愚痴なんかを聞いていて結構思うところがいろいろあったんですよね。



『四月の余白』©2025 N.R.E


Q:中学生の話にしたのは、監督の中学校の時の実体験が反映されてるんですか。


吉田:そうですね。高校だったら別に退学すればいいんだけど、中学校は義務教育だから、先生は子どもたちの面倒見なきゃいけないし、世間からも面倒を見る義務を持っていると思われてる。高校と違って、切り離せないからこそ逃げ場がないだろうなと思うんです。


Q:教師も生徒もお互いに?


吉田:そうそう。あと高校と比べると中学生はバカだから(笑)。余計に手が付けられない上に、肉体もわりと大きくなってきてるから、怖いっちゃ怖いじゃないですか。特に女の先生なんかだと中学校の男の子が暴れたらどうにもならないと思うし。だから一番どうしていいのかわからないところにクローズアップしようと。あと、まだ間に合う可能性があると思ったの。かなりヤバいヤツでも、まだ中学生だったら。高校でイっちゃってるヤツは中学生より難しいと思います。二十歳超えたらもうムリだと思っちゃいますね。なかなか難しい。


Q;今回の映画でも、最初の方に完全にヤクザになった先輩みたいな人が出てきますけど、ああいうふうに抜けられなくなっていくみたいなことですか。


吉田:やっぱりどんどん固まっていっちゃいますよね。付き合う人間のコミュニティとかもどんどん出来上がってきちゃうし。だからなるべく早いうちに手を打たないとヤバい。





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