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『四月の余白』吉田恵輔監督 令和に持ってきた、自分の中学時代 【Director’s Interview Vol.570】

『四月の余白』吉田恵輔監督 令和に持ってきた、自分の中学時代 【Director’s Interview Vol.570】

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人間くさい人の方が応援したくなる



Q:西というキャラクターで面白いのは、大抵の映画で不良とかを更生させる人って、過去にヤンチャはしていたけれど、どこかで理念とかメソッドをある程度確立させていることが多いと思うんです。でも西はわりとトライ&エラーをしている途中のままで行動を起こしてるじゃないですか。


吉田:そうなんですよ。最初はガチなメンターにしようかなと思ったんだけど、それだとなんか面白くないし、もっと人間臭いやつがいいなと思ったんです。中途半端なやつだけど、ただ気持ちはまっすぐ。気持ちはまっすぐだけど、能力も知識も経験もそんなにないっすみたいな。あと人柄は結構悪いっすみたいな(笑)。ただ、だからといってそういう人間が何も与えられないかといったら、そうとも限らない。そういう人間でも、ちゃんと誰かと向き合ったときに、生まれるものはあるんじゃないかなと思っていて、その方が真実味があるんじゃないかなとも思ってます。 で、次の『mentor』では、「ちゃんとした理念とメソッドがある人間がマジでキモい!」っていう映画を作ってるんです。


Q:立派な人の落とし穴を描くのは、とても吉田監督っぽいですね(笑)。


吉田:立派な人を目指せば目指すほど、ちゃんとすればするほど人間としての魅力はなくなり、気持ち悪くなってきて、どんどん宗教化していくのかもって思って。やっぱり人間くさい人の方が応援したくなるんだよな。あと、俺がもし西の立場だったらきっとこうだろうなと思ったんですよね。たぶん気持ちでは「こいつらのために!」と思ってるけど、結構いい加減で、普通に酔っ払って帰ってきたりしそうだし。



『四月の余白』©2025 N.R.E


Q:ただ吉田監督って、ダメな人間のダメなところにフォーカスしてどん底に落とすのが好きじゃないですか。今回の西も、もちろん失敗もするんだけど、ちゃんと自分の志の部分は保ったまま最後まで行くキャラクターになっていて、それって珍しくないですか。


吉田:珍しいです(笑)。でもそれは、どん底がすでに以前にあったってとこから始まっている物語というのが、今までとは違うんですよ。今までは、映画の中で人生のどん底と遭遇する。でも西の過去はただ語られるだけで、それを乗り越えた結果として今がある。どれだけ叩かれようがディスられようが、すでに一番のどん底は知っている人間だから、まだ歩けるでしょうって思ってます。バカはバカなんだけど、それなりに覚悟を決めて一歩一歩生きている人の話だから、今まで描いてきたキャラクターよりは強いですよね。


あと、俺の最近の映画でいうと、主人公が感情を暴走させる話なんだけど、今回は暴走しているヤツを受け止める人が主人公なんですよ。だからわりと俯瞰している映画になるだろうなとは思ってました。主人公が暴走してたら観客も一緒に付いていくしかないけど、今回は主人公が受け止める側で、観客もわりと西の目線になると思うんですよ。


Q:だから西がいつか受け止めきれずに決壊するんじゃないかとずっとハラハラして見てました。怖かったです。


吉田:でも最後まで踏みとどまったでしょ(笑)。


Q:監督の中で自分を託しているキャラクターがいるとしたら、やっぱり西ですか。


吉田:でも自分も若い時は海斗に近いものがあったし。わりと両方かもしれないですね。だから夏帆さんが演じた先生とかの気持ちは、きっとそうだろうなと想像して書いてるだけで、俺ではない。まあ親の気持ちもね、俺、子供いないしね。だけど最近は親の話ばっかり書いてるけどね。





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