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『四月の余白』吉田恵輔監督 令和に持ってきた、自分の中学時代 【Director’s Interview Vol.570】

『四月の余白』吉田恵輔監督 令和に持ってきた、自分の中学時代 【Director’s Interview Vol.570】

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タイトルはわざとです



Q:かなり暗いトーンの『ミッシング』ですら、泣き笑いみたいなイジりの要素がありましたけど、今回はそういうのも抑えている感じがすごくしました。


吉田:でも西のキャラクターとかはポップに作ってるつもりなんですけどね。俺が心配していたのは、すっごくヌルい教育番組みたいに思われたら嫌だなぁと思っていて。そんなことはなさそう?


Q:がっつりハードなドラマだと思いましたけど、でもえげつない暴力描写みたいなものはそんなにやってないですよね。


吉田:それは子どもたちが相手だからちょっとやめとこうと思って。出てくるキャラクターがおじさんだったら拳銃でアタマを吹っ飛ばしたっていいんだけど、子どもたちだとさ、やっても足をへし折るくらいにしとくか、みたいな(笑)。


Q:でもそういう場面も直接は見せないですよね。


吉田:そこは見せない。絶対に。もっと残酷な描写なんていくらでも思いつくけど、子供を相手にはやめとこうと思って。


Q:そういうところも監督がすごくちゃんとした大人になっている感じがしてきてます。


吉田:だけど次の『mentor』を観たらみんな全然そんなことないって思うよ(笑)。だから『四月の余白』は、自分で言うのもアレだけど最近では一番大人の映画を作った気がしましたね。撮影中はもっとおバカで、もうちょっとヌルい映画になるかもしれないと思ってたんです。あと、もうちょっと躍動感のある映画になると思ってた。でも完成してみたら、意外と大人の映画だなと思ったし、なんだかちゃんと俺が大人になってると思いました。



『四月の余白』©2025 N.R.E


Q:本人ですらそう思うんですね(笑)。


吉田:うん、本人でも思う。


Q:そもそもタイトルからして大人な感じというか、文芸作品って感じですよね。


吉田:タイトルはわざとです(笑)。今回は主演が一ノ瀬ワタルさんだから、タイトル次第ではVシネっぽくなりそうだなと思って。一ノ瀬ワタルとカタカナの横文字だと特に。実は『四月の余白』とちょっとやろうとしていることが被ったなと思ったのが、海外の『システム・クラッシャー』(19)って映画だったんです。でも、そのタイトルをポスターで一ノ瀬ワタルに貼り付けたとしたらどう思います?


Q:マ・ドンソクのアクション映画みたいに見えそうですね。


吉田:でしょ!海外作品であの主人公の女の子のビジュアルがあるから『システム・クラッシャー』って言われても興味が湧くけど、一ノ瀬ワタルとシステム・クラッシャーは「混ぜるな危険!」だから(笑)。「クラッシャー」とか「ブルドッグ」みたいなのは絶対にダメで、中川龍太郎っぽいイメージのタイトルがいいんだろうなと思ったんです。ちょっとポエムチックなのがいいなって。


Q:『四月の余白』で吉田作品を初めて観る人は、吉田監督はこういう監督なんだと思いますよ。このタイトルみたいな作品をきっちり作る人なんだって。


吉田:うん。で、次に『mentor』を観に来たら「あれ、どうした?」ってなる。


Q:でもファンには「またこっちに帰ってきた!」ってなるわけですよね。


吉田:いや、帰ってきてもいない。


Q:また新しいところに手を出している感じですか。


吉田:うーん、どうなんだろう? いい方なのか悪い方なのかももはや自分ではわからないですね。でもこれからどんどん路線がヒドくなっていく気配がプンプンしているので、『四月の余白』がまともでちゃんとしてる最後の作品かもしれないです!



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監督/脚本:吉田恵輔

1975年、埼玉県出身。学生時代に塚本晋也監督作品の照明を担当。自主制作映画『なま夏』(06)で注目を集め、同年、『机のなかみ』で長編映画監督デビュー。その後も、『さんかく』(10)、『麦子さんと』(13)、『ヒメアノ〜ル』(16)、『愛しのアイリーン』(18)、『BLUE/ブルー』(21)、『空白』(21)、『ミッシング』(24)など話題作を次々と発表。2026年は監督作『mentor』の公開も控える。



取材・文:村山章

1971年生まれ。雑誌、新聞、映画サイトなどに記事を執筆。配信系作品のレビューサイト「ShortCuts」代表。




『四月の余白』

6月26日(金)新宿ピカデリーほか全国公開

配給:アークエンタテインメント 

©2025 N.R.E

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