常に現場にあった5mの大型クレーン
Q:映画『さがす』では、本作に比べると予算は格段に少なかったと思いますが、安っぽい感じは全くしませんでした。ロケーションが活かされたところが大きかったのかと思いますが、今回もロケは多そうですね。
片山:今回は120箇所ぐらいロケ地がありました。「そんなに行ったかな…」と思いつつも(笑)、それくらいの場所に散らばって撮影しましたね。
Q:TV局などのオフィスや道路、途中に出てくる賭博場、そしてそこに出てくる人の人数まで、とにかくすべての規模が広くて大きいのですが、その辺は何か意図があったのでしょうか。
片山:確かに、狭いところは華歩(広瀬すず)と富士太(林遣都)の家ぐらいで、それ以外は広いところが多かったですね。撮影では常に5メートルのクレーンを入れたいんです。それが色んな良い画を撮ることに繋がるので、それで狭いところが少なかったのかもしれません。狭い場所も好きなんですけどね。
また、今回僕にとっては初めての、東京が舞台の作品なんです。共同監督の作品では東京が舞台のものはありますが、1人で監督した作品では初めて。それで東京をちゃんと映そうと思って、窓の“抜け”に高層ビルや東京タワー、スカイツリーが見えるように狙っていった結果、自然と広い場所になっていきました。
Q:ナイトシーンが多かった印象もありますが、ロケ地の関係もあるのでしょうか。
片山:もちろん場所は夜の方が借りやすいですが、ガス人間が出てくる時間帯を考えると、昼間よりも夜の方がはるかに怖いし神秘的。その狙いはありましたね。

Netflixシリーズ「ガス人間」
Q:ナイトシーンが多かった分、昼間のシーンが際立ち印象に残りました。第2話のエンストしたタクシーのシーンはルック含めて最高でした。ルックの方向性等は撮影監督の池田直矢さんとはどのように話されたのでしょうか。
片山:そのシーンは僕も大好きですね。色合いやフレームについては、画コンテを元に入念に決めたわけではなく、割といつも通りラフにやっていました。もう少し世界観を作れたかなと思う部分も正直あるのですが、ご覧になって良いルックだと思っていただけたなら、それは嬉しいですね。
Q:アクションやカーチェイスの迫力とクオリティがすごく、その多くのシーンではガス人間が絡んできます。すなわちVFX処理も発生しているわけですが、アクション・VFXシーンはどのように撮影されたのでしょうか。
片山:全部コンテを描いて、必要なら検証もしました。車がぶつかった時にバンパーがどうなるか実験して、その結果、バンパーに鉄板を仕込んだりもしています。バックフリップで車がひっくり返るシーンも、広い駐車場を借りて実際に車を飛ばして実験しました。それで撮れるアングルと撮れないアングルがわかってくるんです。
Q:北九州の若戸大橋を封鎖したカーアクションでは、ドローンも飛んでかなり大規模でした。
片山:橋の反対側にかなりの車が並んでいますが、さすがにあの台数全部は置けない。半分ぐらいはCGだったりするんです。
Q:『レザボア・ドッグス』(92)や『セブン』(95)、『ビッグ・リボウスキ』(98)など、さまざまな映画の引用も楽しいですが、それらは脚本段階から入っていたのでしょうか。
片山:脚本には入ってはないですね。ボウリング場のシーンは最初は野球場の予定でしたが、撮影できなかったので「じゃあボウリング場にしよう」と。そうやって二転三転ありましたが、自分がやりたいことは入れることができました。ボウリングやるんだったら『ビッグ・リボウスキ』やるしかないだろうと(笑)。