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  3. 『クロノス・カイロス』ヘッラ・ウルッポ監督 × プロデューサー:ミカ・ラッティ × 主演:トニ・プロトニ・ヤルヴィネン 映画作りは、砂場遊びのようなもの【Director’s Interview Vol.588】
『クロノス・カイロス』ヘッラ・ウルッポ監督 × プロデューサー:ミカ・ラッティ × 主演:トニ・プロトニ・ヤルヴィネン 映画作りは、砂場遊びのようなもの【Director’s Interview Vol.588】

向かって左から主演:トニ・プロトニ・ヤルヴィネン氏、ヘッラ・ウルッポ監督、プロデューサー:ミカ・ラッティ氏

『クロノス・カイロス』ヘッラ・ウルッポ監督 × プロデューサー:ミカ・ラッティ × 主演:トニ・プロトニ・ヤルヴィネン 映画作りは、砂場遊びのようなもの【Director’s Interview Vol.588】

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ミュージシャン、ミュージックビデオの監督・撮影など、フィンランドでマルチに活躍してきたヘッラ・ウルッポ。そんな彼が、自身の離婚という喪失を基に長編映画監督デビューを飾った。彼と共に映画を作り上げたのは、フィンランド・カルッキラの映画館「キノ・ライカ」をアキ・カウリスマキ監督と共同経営するミカ・ラッティと、DJ・イベントオーガナイザー、レストラン経営者などの顔を持つトニ・プロトニ・ヤルヴィネン。


着想から10年の歳月を経て生み出された本作は、スペイン・アンダルシア地方の美しい山岳地帯を舞台に撮影。巨匠カウリスマキが「超現実主義のマスターピース」と絶賛した通り、モノクロームの景色にシュールな異物が織り交ぜられ、日常を超越した夢のような美しさをスクリーンに立ち上がらせている。それぞれに独自のカルチャーを生み出しながら文化交流の場を支えてきた彼らが、映画作りに挑んだ理由とは。3人に話を伺った。



『クロノス・カイロス』あらすじ

誕生日の祝いの席。黒い風船に囲まれたテーブルで、女(ミラ・ルオティ)は男(トニ・プロトニ・ヤルヴィネン)に告げる──「新しい男ができた」。そっと頬を撫でて去っていく彼女には、すでに新しい恋人がいた。ポールダンスを踊り、球体を宙に操る女。残された男の耳の奥では、その日から鳴りやまない音が響き始める。嫉妬と喪失に呑み込まれた男は、女のダンスポールを切断してしまう。壊れた均衡を取り戻す方法はただひとつ、新しいポールを打ち立てること。荒野で男が出会うのは、甲殻類アレルギーの殺し屋。奇妙な相棒となった二人は、モノクロームの山岳地帯をさまよいながら、不可解な出来事の連鎖へと足を踏み入れていく。


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パンク・ロックの精神で作られた映画



Q:本作は着想から10年をかけて作られたそうですね。


ウルッポ:完成までに時間がかかった理由の一つは、資金を調達する必要があったからです。例えば、撮影用のカメラを買うために私はベンツを売却しました。私たちは、外部からの資金を一切使わずに映画を作りたいと考えていました。いわゆるプロデューサーのような人たちに細かく口出しされたり、指図されたりしたくなかったのです。私たちは芸術を信じていて、自分たちの物語を自分たちのやり方で伝えたかった。もう一つ言えるのは、この映画の作り方が、いわゆるパンク・ロッカーのやり方であるということ。映画作家とはパンク・ロッカーのようなものなのです。


ラッティ:本作はパンク・ロックの精神で作られた映画でした。一人一人ができ得る限りのものを注ぎ込んで、創作の主導権を自分たちで守り抜きました。私の場合は、森を売りました(笑)。ある意味で、芸術のために犠牲を払ってきたと言えるのでしょうね。


ヤルヴィネン:私は、アディダスのレアなスポーツウェアを売りました(笑)。



『クロノス・カイロス』


Q:ウルッポ監督自身の離婚を基に本作を着想されたとのことですが、脚本のクレジットはミカさんとの共作になっています。脚本はどのようなやり取りで作られたのでしょうか。


ウルッポ:この物語は、結婚と離婚というアイデアから生まれました。それが構築の出発点でした。しかし、実際の脚本執筆のプロセスは、よくあるような執筆スタイルではありませんでした。


執筆の代わりに、私たちはひたすら対話し、議論を重ねました。アイデアは頭の中に留めておくだけで、ほとんど何も書き留めなかった。実際、正式な脚本など一度も書かれることはなかったのです。すべては対話の積み重ねでした。そうして、『クロノス・カイロス』は実に異例な方法で作られていきました。少し書いては撮影し、また書いては撮影する。そんな具合で、執筆と撮影を並行していったのです。


このようなやり方に伴うのが、資金調達の問題でした。他の国がどうかは分かりませんが、少なくともフィンランドでは、映画製作における資金援助は完成した脚本に基づいて行われます。資金調達がほぼ不可能になるにもかかわらず、私たちは従来とは異なるやり方を選びました。まず脚本を書いて、そこから撮影をしていく。通常の手順は踏まなかったわけです。




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