被告の母親もカメラの前で証言
Q:映画は大きく見ると、前半で林さん、後半で大久保医師を描く二部構成になっています。この構成は最初から意識されていたのでしょうか。
二村:走り始めた時は全然考えてなくて、まずは林さんが訴えていたことの裏付けだったり、その周辺を証言してくれる人を探していきました。取材していく中で、大久保という人物にも、最初の裁判で見た時の違和感みたいなところから興味を持ちました。本当にサイコパスだったのか、優生思想を持っていたのか。当時報道で色々な言われ方をされていたので、確かめたいと思いました。そういう材料を集めていきながら、同時に編集も進める中で、二部構成的になっていきました。
Q:林さんと交流のあった難病患者の方々にも取材しています。カメラを回すまで、どのように関係を築いていったのでしょうか。
二村:林さんとやりとりしていた方にDMを送って、「当時の心境や現状を教えてくれませんか」 というところからコンタクトをしました。話してくれそうであれば、会いに行っていろいろ話をして、こちらの考えや相手がどう考えているかを聞いた上で撮影をするという、まあごくごく自然な方法だと思います。

『京都ALS患者嘱託殺人事件』©『京都ALS患者嘱託殺人事件』製作委員会
Q:林さんに薬物を投与した大久保医師のお母さんにもインタビューしています。映像での取材は初めてだったのではないでしょうか。
二村:雑誌の記者が取材に来たことはあるみたいでした。ただ、今回のように大久保さんの幼少期のことを語ったりしたことはなかったと思います。
Q:お母さんは、なぜ取材を受けようと思われたのでしょうか。
二村:自分の息子がああいった事件を起こしたことに関しては、社会に対して申し訳ないということをおっしゃっていました。加えて、「もし自分が話すことで何かしらプラスになるものがあれば、逃げも隠れもしないので答えます」というふうにおっしゃっていました。