1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『京都ALS患者嘱託殺人事件』二村真弘監督 「死にたい」という声の先で交錯した2人の人生を描く【Director’s Interview Vol.600】
『京都ALS患者嘱託殺人事件』二村真弘監督 「死にたい」という声の先で交錯した2人の人生を描く【Director’s Interview Vol.600】

『京都ALS患者嘱託殺人事件』二村真弘監督 「死にたい」という声の先で交錯した2人の人生を描く【Director’s Interview Vol.600】

PAGES


「事件もの」はもっとやりようがある



Q:『マミー』に続き、今回も刑事事件を扱っています。事件ものへの特別な思い入れがあるのでしょうか。


二村:事件ものをやりたいんですよね。こと日本の事件ドキュメンタリーに関しては、まだまだ手法も含めてやり尽くされていないと思っているので、表現方法も含めて模索していけたらと思っています。



『京都ALS患者嘱託殺人事件』©『京都ALS患者嘱託殺人事件』製作委員会


Q:次回作も事件を扱う可能性はありますか。


二村:映画にできるかわからないですが、取材は進めています。ただ、『マミー』を作った経験から感じたんですが、事件や裁判の情報は一部のマスコミに独占されている印象です。記者クラブを通じて、彼らは容易に情報にアクセスできるけれども、一般にはなかなか届かない。特に刑事裁判においては、本来なら公開されるべき判決文も、第三者が申請したら容易に出してくれない。これはおかしな話で、そんな状況のせいで私たちが知らないことはすごく多いんです。だからこそメディアの役割や事件の描き方もすごく大事だと思います。本来であればそこに様々な人が容易にアクセスできて、事件のことを多角的に検証するべきだと思うんですが、それがまだ叶っていない。その状況に不満があります。


Q:検察や裁判の仕組みにも、構造的な問題があると感じます。


二村:そうですね、最近よく検察の不祥事が報道されるようになって、そうした組織が一概に信用できるものでないことが認知されているのは、すごくいいことだと思います。裁判においても、判決が全て正しいわけではないことは、色々な形で伝えられたらと思います。





監督:二村真弘

1978年愛知県出身。日本映画学校(現・日本映画大学)で学び、2001年よりドキュメンタリージャパンに参加、11年からフリーランスとしてテレビ番組の制作を手掛ける。統合失調症からの回復を引き出す日本独自の手法を描いた「見る当事者研究」(15/DVD作品)、東日本大震災の被災者たちが身内にだけ語ってきた“笑える話”を聞き取った「千原ジュニアがゆく 聞いてけろ おもしぇ~話」(17/NHK総合)、ネジ1本から手作りする独立時計師を1年以上追った「情熱大陸/菊野昌宏」(19/MBS)、講談師・神田松之丞の真打昇進、6代目神田伯山襲名までの半年を追った「情熱大陸/松之丞改め神田伯山」(20/MBS)、我が子が不登校になったことをきっかけに学校のあり方、家族のあり方を描いたセルフドキュメンタリー「不登校がやってきた」シリーズ(21~/NHK BS1)など。和歌山毒物カレー事件の深層に迫った初映画監督作『マミー』が24年劇場公開。



取材・文:稲垣哲也

TVディレクター。マンガや映画のクリエイターの妄執を描くドキュメンタリー企画の実現が個人的テーマ。過去に演出した番組には『劇画ゴッドファーザー マンガに革命を起こした男』(WOWOW)『たけし誕生 オイラの師匠と浅草』(NHK)『師弟物語~人生を変えた出会い~【田中将大×野村克也】』(NHK BSプレミアム)




『京都ALS患者嘱託殺人事件』

10月31日(土)よりユーロスペース、京都シネマ、第七藝術劇場ほか全国順次公開中

配給:東風

©『京都ALS患者嘱託殺人事件』製作委員会

PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. Director‘s Interview
  3. 『京都ALS患者嘱託殺人事件』二村真弘監督 「死にたい」という声の先で交錯した2人の人生を描く【Director’s Interview Vol.600】