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『ザ・バニシング -消失-』観客に委ねられる真の恐怖と不安とは

(c) 1988, Argos Film, Golden Egg, Ingrid Productions, MGS Film, Movie Visions. Studiocanal All rights reserved.

『ザ・バニシング -消失-』観客に委ねられる真の恐怖と不安とは

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※2019年4月記事掲載時の情報です。


『ザ・バニシング -消失-』あらすじ

7月、オランダからフランスへと車で小旅行に出掛けていたレックスとサスキア。立ち寄ったドライブインで、サスキアは忽然と姿を消してしまう。必死に彼女を捜すも手掛かりは得られず、3年の歳月が経過。依然として捜索を続けるレックスの元へ、犯人らしき人物からの手紙が何通も届き始め…。


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キューブリックに激賞されたサイコ・サスペンス



 俗に「サイコ・サスペンス」と呼ばれる、常軌を逸した人間の凶行を描くジャンルがある。だが登場人物だけでなく、作品そのものが狂っているように感じられる映画が稀に存在する。その度合いがきわめて強いのが、本作『ザ・バニシング -消失-』である。


 本作は、スタンリー・キューブリック監督に「これまで観たすべての映画の中で最も恐ろしい映画だ」と激賞されたり、本作のジョルジュ・シュルイツァー監督自身の手によって、ジェフ・ブリッジス、キーファー・サザーランド、サンドラ・ブロック出演作としてハリウッドでリメイクされるなど、世界的に注目を集めた作品ながら、日本で劇場公開されることはなく、この記事を書いている現在、ソフトの販売も終了しており鑑賞困難な作品の一つとなっていた。それが今回、30年以上の時を経て、ついに日本の劇場で公開される。いま、この作品がスクリーンで観ることができるというのは、映画ファンにとっては僥倖といえるだろう。


『ザ・バニシング -消失-』予告


 ここでは、この異常な映画がどう狂っているのかを考えながら、それが示す“真のおそろしさ”とは何なのかについて、できる限り深く考えていきたい。



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