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  4. 『象は静かに座っている』“声無き悲鳴”を映し出す、孤高の234分
『象は静かに座っている』“声無き悲鳴”を映し出す、孤高の234分

『象は静かに座っている』“声無き悲鳴”を映し出す、孤高の234分

※本記事は物語の核心に触れているため、映画をご覧になってから読むことをお勧めします。


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中国・新鋭監督の初長編にして遺作



 ハンガリーの鬼才タル・ベーラ監督から教えを受けたという、中国の新鋭監督フー・ボーが、自身の著書の短編を映画化した『象は静かに座っている』は、彼の初長編作品であり、同時に遺作となった。まだ29歳だった彼は、本作の完成後に、自ら命を絶ってしまったのだ。


 自殺の理由は、一説では、234分(ほぼ4時間)に及ぶ本作を短く編集し、120分以内にするよう要求したプロデューサーとの軋轢にあったと噂されるものの、それが真実なのかどうか、彼や周辺事情を知らない私たちには判断しようがない。確実なのは、この事件によって、結果的に短く編集されるという処置を受けなかった本作が、否が応でも、そのセンセーショナルな事柄を背負う映画になったということだ。



 物語は、廃れた炭鉱のある中国の地方都市で、耐え難い現実と直面する4人の主要登場人物の1日を追っていくというもの。親友の妻と不倫をしたことで、目の前で親友に飛び降り自殺されてしまう青年。孫娘の進学を理由に、家族から老人ホームに入るように説得され続けている老人。母親との衝突が絶えず、学校の男性教師と密かに関係を結んでいる少女。そして、ある事件を起こしてしまったことで、粗暴な父のいる家に帰れずにあちこちを彷徨する少年。


 やがて彼らは、街から2,300キロメートルも離れている、ロシアとの国境にある“満州里”の動物園に、1日中ただ座っているという奇妙な象がいるらしい……という話に惹きつけられていく。



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