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『ソフィア・コッポラの椿姫』クラシックと奇跡の融合を果たしたソフィアの作家性とは

『ソフィア・コッポラの椿姫』クラシックと奇跡の融合を果たしたソフィアの作家性とは

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ソフィアとオペラが出会う時、何かが終わり何かが始まる



 あの映画監督ソフィア・コッポラが、オペラ演出デビューを果たす。そんな第一報に触れて、正直、心の中で胸騒ぎを覚えた人も多かったのではないだろうか。ソフィアとオペラの組み合わせで真っ先に思い出すのは、今から27年前、父フランシス・フォード・コッポラが監督を務めた『ゴッドファーザー PARTⅢ』。この中でソフィアは、マイケル・コルレオーネ(アル・パチーノ)の愛娘、メアリー役を演じている。奇しくもコルレオーネ一家は、長男のオペラ歌手デビューを祝し「カヴァレリア・ルスティカーナ」の観劇へと向かうのだが、しかしその場所こそが運命の地。結果的に一発の銃弾がメアリーの命を奪い、深い悲しみのアリアに乗せて3部作のファミリーヒストリーに荘厳な終止符が打たれるのである。


 おそらくこの瞬間、ソフィアの中で何かが死んで、何かが産声をあげたのだろう。演技に対する酷評が影響したのか、彼女はこれを機に女優業とはきっぱり決別。その一方で、実質的にこれがきっかけとなって、他の新たな道、つまり映画監督への扉が開いたと解釈することもできる。その後の快進撃は目を見張るばかり。アカデミー賞で脚本賞を受賞した『ロスト・イン・トランスレーション』やヴェネツィア国際映画祭で最高賞を受賞した『SOMEWHERE』を始め、彼女は言葉にしがたい繊細な空気感を観客へと提示し続け、他者には決して真似できない唯一無二の“表現者”となった。


 そんな彼女がオペラ演出家デビューを飾るというのだから、なおのこと驚きなのだ。その模様を映像化した『ソフィア・コッポラの椿姫』には、娘のデビューを見守ろうと父コッポラを始めファミリー一同が客席の中央に集結する様子も見て取れる。果たして運命はどちらに転ぶのか。あるいは再び、彼女の中で何かが死に、そして何かが生まれようとしているのか。


 結論から言って、これらの胸騒ぎは全て杞憂に終わったとみていい。ソフィア・コッポラによる初演出作「椿姫」は、ローマ歌劇場での全15公演全てのチケットがソールド・アウト。全編を彩る音楽性はもちろんのこと、豪華絢爛たるステージとダイナミックかつ繊細な感情を織り成した内容もまた素晴らしく、彼女のデビューは大きな賞賛と共に迎えられた。彼女は自らの手で「ソフィアとオペラ」のジレンマを見事克服し、人生の新たな扉を力強く押し開いたのである。





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