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『ゾンビランド:ダブルタップ』10年経っても「変わらない」安心感――幸せがあふれる99分の“再会”

『ゾンビランド:ダブルタップ』10年経っても「変わらない」安心感――幸せがあふれる99分の“再会”

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余計な変化を足さない「地に足の着いた」決断



 『ゾンビランド:ダブルタップ』は、前作の約10年後が舞台。ホワイトハウスを拠点にし、4人で幸せを謳歌していたはずのコロンバス(ジェシー・アイゼンバーグ)、タラハシー(ウディ・ハレルソン)、ウィチタ(エマ・ストーン)、リトルロック(アビゲイル・ブレスリン)だが、女子チームはマンネリ感も拭えずにいた。


 恋をしたいリトルロックは、父親ぶるタラハシーにうんざり気味。ウィチタもまた、コロンバスを今まで通り愛せなくなっていた。姉妹はコロンバスとタラハシーの元を離れるが、道中でリトルロックがヒッピー男と駆け落ちするという事件が発生。再び合流したコロンバス、タラハシー、ウィチタの3人は、頭がカルい女性マディソン(ゾーイ・ドウィッチ)を巻き込んで、リトルロックを連れ戻しに行くのだが……。




 これが本作の大まかなあらすじだが、物語自体に何か劇的な変化が起こったわけではない。『ターミネーター2』から『ガーフィールド』(04)、『ウォーキング・デッド』(10〜)、エルヴィス・プレスリー、ウェズリー・スナイプスなどの名前が飛び出すネタ満載のセリフ、冒頭のスロー映像、コロンバスが考案した「生き抜くためのルール」が画面上に文字として現れる演出など、全てが前作のまま。物語の展開も、緩すぎず派手になりすぎず、10年ぶりだからといって余計な手を加えることなく、気持ちがいいほど「変わらない」内容で進行していく。むしろ、「変えない」ことこそが本作の大きな決断といえるだろう(この部分は後述する)。


 続編ということで、もちろん進化はしている。例えば、ゾンビの種類が増えた。素早い動きの「ニンジャ」、太っちょで愚鈍な「ホーマー」、高い知能を持った「ホーキング」(スティーブン・ホーキング博士から命名)、そしてなかなか死なない「T-800」(もちろん『ターミネーター』からの引用)。アクションもカメラワークも派手にはなっており、「ルール」は32から73に倍増しているが、スケール自体が膨大にならないように気配りがなされているため、続編によくある「パワーアップしすぎた」感はない。逆に「どれだけあの世界を愛していたんだろう」とにやけてしまうほどの踏襲ぶりだ。




 テーマにおいても、「終末世界で楽しく生きる」を再定義するものになっている。前作では孤独に生きていたコロンバスが仲間と出会い、成長する様子が描かれていたが、本作ではコロンバスとウィチタの恋愛関係、タラハシーとリトルロックの疑似親子関係という2つの「愛」を主軸にした受容と和解を描いており、内面の成長がより深化した形だ。この監督・脚本家チームの素直な語り口は変わらず、全編にわたって好感が持てる仕上がりとなっている。



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