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『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』のヒットは必然?トレンド×普遍性を両立させた周到なアイデア作

『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』のヒットは必然?トレンド×普遍性を両立させた周到なアイデア作

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オリジナルの設定に「ゲーム要素」を足した発明



 『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』がウケた理由はほかにもある。「テレビゲーム感覚で楽しめる」部分だ。むしろ、テレビゲームの「あるある」を映画に“装備”させまくった点が、ゲームに慣れ親しんだ層に好感を与えた。


 まず、「3回死ぬとゲームオーバーになる」点。「ゲーム内で死ぬと現実世界に戻れない」はこれまでの映画にもあったが、「2回までなら死んでOK」はゲームならではの感覚で、それを映画に持ち込んだのは極めて斬新だ。また、胸を押すと「メニュー」が出て、それぞれのスキルリストが表示されるという演出も、ゲームそのもの。しかしこれまた、映画ではなかなかお目にかからない。




 それぞれに特殊能力があり、特定のアバターだけが地図を見ることができる点、またその逆に弱点があり、それに当たると一発KOされる設定など、本作には他にもゲームから引用された要素がごまんとある。これらを盛り込むことで、観客はストーリーの予測を立てつつ、まるで自身がロールプレイングゲームをプレイしているような感覚を得られる。観客が観客以上の参加度で楽しめるという部分も、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』の大きな魅力だ。


 そしてこの設定が、ドラマ性をも高めているから興味深い。ニック・ジョナス演じる飛行機パイロットは、一昔前にゲームの中に閉じ込められた若者。ゲーム内では年を取らないが、現実世界では立派な中年となっており、浦島太郎的状況に愕然とする。また、あと1回死んだら現実世界に戻れなくなるため、常に瀕死状態。八方ふさがりの状況だったが、主人公たちが来たことで希望を見出す。余談だが、このキャラクターは当初、トム・ホランドがキャスティングされていたという。『スパイダーマン:ホームカミング』(17)とスケジュールが重なっていたために実現しなかったそうだ。


 オリジナルの『ジュマンジ』を知っている世代からすると、「ゲームが現実世界に飛び出してくる」設定が、真逆の「現実からゲームの世界に吸い込まれる」に変わった点に驚かされたのではないか。しかし実はこれ、前作の設定をそのまま利用している。「ジュマンジは人を吸い込む」「ゲームをクリアしないと現実世界には戻れない」といった部分はオリジナルと同じで、見せ方を変えているのだ。




 例えば前作のアラン(ロビン・ウィリアムズ)はゲーム内のジャングル内に閉じ込められており、現実に呼び戻されたというストーリーラインが敷かれている。また、本作には要所要所に前作との関連性が示され、ジャングル内でアランの痕跡を見ることができる。


 こういった「リブート的だが、実はつながっている」ヒット作で真っ先に浮かぶのは、『ジュラシック・ワールド』(15)だろう。キャストを入れ替えて一新したように見せかけて、過去シリーズとリンクさせるアイテムを劇中にちりばめ、最終的にはオリジナルキャストを復活させ、“その先”を描く――。『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』もこの作りに近いが、非常に微笑ましいのは、ボードゲームだったジュマンジをあっさりテレビゲームへと変えてしまったことだ。


 一種の暴挙ともいえるが、作品内では「ジュマンジが時代に配慮してゲームに変化した」という処理で済ませており、このあっけらかんとしたご都合主義が、先に挙げた「ツッコミ待ち」状態をさらに強め、逆に観客に受け入れられた。意志を持ったゲームであるジュマンジが、時代に即して姿を変える――この構造は、『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』という映画自体のメタファーでもある。過去のヒットしたコンテンツを、時代のトレンドに沿うようにアップグレードさせる。それもまた、1つの「原作愛」の形だろう。



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