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『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』のヒットは必然?トレンド×普遍性を両立させた周到なアイデア作

『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』のヒットは必然?トレンド×普遍性を両立させた周到なアイデア作

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観る者の心を掴む普遍的なメッセージ



 アイデアゴリ押しの「一発屋」に見えて、実は周到に計算された商業作である『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』。しかし、決して「売れ専」だけの映画ではない。ちゃんと、人の感情に訴えかけるストーリーが用意されているということを、最後に述べて本稿を締めたい。


 本作には、「友情ドラマ」と「ラブストーリー」がしっかりと描かれているのだ。劇中のほとんどを占めるのはアバターではあるのだが、彼らの“中身”は高校生。主人公は、ゲーム世界で無敵になったことで自信を持つことの大切さを学んでいくし、堅物の優等生はナイスバディのヒロインになってしまったことで、自分の気持ちをオープンに見せていくことを知っていく。




 そしてまた、主人公が「現実に戻ればまたサエない日々。この世界で暮らした方が幸せなんじゃないか」と悩むシーンは、リアルとバーチャルの狭間で生きているSNS世代にとって、ダイレクトに共感できる部分でもあるだろう。ゲーム内の世界を描くことで、逆説的にリアルの生活を際立たせていく。「現実世界では、1回死んだら終わり。だから、悔いのないように生きなければ」という真っ直ぐなメッセージは、微塵の説教臭さもなく観る者の心に響く。外見で存分に遊んでいるからこそ、伝えるべきテーマが「芯」としてしっかりと機能しているのだろう。


 見た目は中年男性だが中身は女子高生のアバターと、見た目は若々しいがゲーム世界に取り残されたままのアバターの恋模様も、特筆すべきポイントだ。最初こそ絵面と心情のギャップという点で目を引かれるが、次第に観客が慣れてきて、気づくと応援している。この部分もまた、「大切なのは、見た目ではなく心」というテーマを嫌みなく伝えている。そしてまた、この構造は、「外見は中年男性だが中身は子ども」という前作の設定を受け継いで、さらに発展させた形と見ることもできる。『ジュマンジ』の「変化球の青春映画」であるという構造を、本作でも再体験することができるのだ。




 ただ「ウケた」だけでは、世界中の映画ファンを満足させることはできない。『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』には前作への敬意が前提としてあり、そのうえで時代に即した要素を入れている。そういった意味では、『シャイニング』(80)の続編『ドクター・スリープ』(19)、第1作の40年後を描く『ハロウィン』(19)と同じく、次世代が先駆者に捧げた「ラブレター」といえるのかもしれない。


 さらに続編となる『ジュマンジ/ネクスト・レベル』では、アバターが人間だけでなく馬も登場。中身はおじいちゃんに加えて、前作のキャラがさらにシャッフルされる、とさらなる「進化」を見せつけされ、大いに楽しめる内容となっている。




文: SYO

1987年生。東京学芸大学卒業後、映画雑誌編集プロダクション・映画情報サイト勤務を経て映画ライターに。インタビュー・レビュー・コラム・イベント出演・推薦コメント等、幅広く手がける。「CINEMORE」「FRIDAYデジタル」「Fan's Voice」「映画.com」等に寄稿。Twitter「syocinema



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『ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル』

4K ULTRA HD & ブルーレイセット ¥6,800+税

ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント

(c)2017 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

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