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『エクソシスト』信仰を失った神父が、“神”を取り戻すまでの物語

『エクソシスト』信仰を失った神父が、“神”を取り戻すまでの物語

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倫理的にアウトな演出によって引き出された、“リアルな芝居”



 ポール・ニューマン、ジャック・ニコルソン、ダスティン・ホフマン、ジーン・ハックマン、ウォーレン・ベイティ、バート・レイノルズ、ライアン・オニール、ピーター・フォンダ、アル・パチーノ、ジョン・ヴォイト、クリストファー・ウォーケン、アラン・ドロン、ジェームズ・カーン、ロイ・シャイダー…。


 映画界を代表する名優ぞろいだが、彼らの共通点がお分かりになるだろうか?正解は、カラス神父役として名前の挙がった俳優たち。映画の実質的な主役として、当初はスター俳優のキャスティングが検討されていた。しかし、最終的にカラス神父役を射止めたのは、無名のジェイソン・ミラー。監督のウィリアム・フリードキンが、舞台での彼の演技に感銘を受け、カラス神父役に抜擢したのだ。



 その期待に応え、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされるほどの熱演を見せたジェイソン・ミラー。しかしその裏には、徹底したリアリズムにこだわる、ウィリアム・フリードキンの“ドS全開演出”があった。


 本当に驚いた表情を引き出すために、フリードキンがジェイソン・ミラーの耳の近くで突然銃を発砲して、彼を逆ギレさせたのはまだ序の口。リーガンが緑色の嘔吐物をカラス神父の顔に浴びせるシーンでは、元々は胸を狙うと説明しておきながら、誤って(もしくはフリードキンが仕組んで)顔面に発射。嘔吐物を拭き取る時の嫌悪感に満ちた彼の表情は、本物のリアクションだったのである。




 もちろん、被害者はジェイソン・ミラーだけではない。カラス神父の親友・ダイアー神父を演じているのは、イエズス会の本物の司祭であるウィリアム・オマリーだが、動揺した芝居を引き出すため、フリードキンは撮影直前に彼を平手打ち。ベッドが揺れてリーガンが泣き叫ぶシーンは、想像以上の振動による本物の絶叫だ。


 倫理的にアウトな演出のオンパレードだが、なぜウィリアム・フリードキンは、そこまでして“リアルな芝居”にこだわったのか?それは、俳優のお仕着せの芝居では、この映画が内包している「神の不在」と言う哲学的テーマは扱えない、と思ったからではないだろうか。



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