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『恐怖の報酬』天才ウィリアム・フリードキンの最高傑作にして悲運の作品

『恐怖の報酬』天才ウィリアム・フリードキンの最高傑作にして悲運の作品

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オリジナルと比較され、得られなかった正当な評価



 筆者が高校生の頃(90年代初頭)、なぜか唐突にVHSで『恐怖の報酬』(77)がリリース、それをレンタルビデオ店で手に入れ夢中で見た。衝撃を与えればすぐさま爆発するニトログリセリンを、トラックで300キロ先に運ぶ4人の男たちの重厚なドラマに圧倒された。その数か月後、ある映画関係者と話す機会を得て『恐怖の報酬』にいたく感動したことを伝えると、彼はこう言い放った。「やっぱりクルーゾーのオリジナル版にはかなわないよ」。


 まだ映画歴の浅かった筆者はその時初めて、ウィリアム・フリードキン監督の『恐怖の報酬』が、フランスの巨匠、アンリ=ジョルジュ・クルーゾーの『恐怖の報酬』(53)のリメイクであることを知った。その後、オリジナルを見たが(全編ちゃんと見たか記憶は定かでないが…)私は今も断然フリードキン版を偏愛している。しかし、同作は世間のオリジナルに重きを置く風潮と、公開時の不幸が重なり、長く不当な評価に甘んじて来た。




 1977年の初公開当時、世界は『スター・ウォーズ』(77)ブームに沸き立っており、南米を舞台に汗と血と泥にまみれた男しか出てこない『恐怖の報酬』は、興業的に大惨敗を喫した。そのため同作を海外で上映する際に、配給会社はフリードキンに無断で再編集を行い、121分の北米公開版を92分にまで縮めてしまう。そのためか、ここ日本での興行成績も1.1億円とまったくふるわなかった。批評家の多くもクルーゾーのオリジナルと比較して批判するものが多く、作品はソフト化と絶版を繰り返し、日本でも長く完全版を見ることは叶わなかった・・・。 


 その状況が覆されたのは2012年。複雑な権利関係が災いし長く封印されていた同作を蘇らせるべく、フリードキンは訴訟を起こし、ワーナーにレストアの費用を出すことをOKさせた。そして4Kデジタルリマスターでオリジナル完全版を製作、2013年のヴェネチア国際映画祭でのプレミア上映を皮切りにLA、ロンドン、カンヌでも上映、世界に『恐怖の報酬』熱を拡散させた。そして初公開から40年を経た今年、遂に日本のスクリーンにフリードキン版『恐怖の報酬』は蘇った(配給交渉にあたったというキングレコードの関係者には感謝の念を幾重にも表したい!)。映画ファンは、この作品をスクリーンで見られる至福に、今こそ思う存分ひたるべきだ。





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