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『恐怖の報酬』天才ウィリアム・フリードキンの最高傑作にして悲運の作品

『恐怖の報酬』天才ウィリアム・フリードキンの最高傑作にして悲運の作品

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2人の魔術師の邂逅



 今年10月、筆者はスクリーンで初めて見る完全版『恐怖の報酬』にうちのめされながら、高校生の頃に出会ったフリードキン版を見下した映画関係者の鼻を明かしたような快感に酔いしれた。しかし、それは所詮、映画ファンの偏狭な自尊心を満たすだけの行為だ。当のフリードキンはクルーゾーに最大限の敬意を払い、エンドロールにこうクレジットした、「この作品をH・G・クルーゾーに捧ぐ」。


 1976年、フリードキンは『恐怖の報酬』を撮る前にクルーゾーに会うため、パリの自宅を訪ねた。病の床にあったクルーゾーはフリードキンに「こんな古くて退屈な代物を君は一体どうしようというんだ?」と尋ねた。するとフリードキンは「あなたの『恐怖の報酬』は傑作です。私は大きな影響を受けました。完成したら一番最初にあなたにお見せします。」と答えたという。しかし、その完成を待たずクルーゾーはその生涯を閉じた。




 フリードキン版『恐怖の報酬』の原題は“SORCERER”=「魔術師」だ。クルーゾーとフリードキン、2人が運命的に出会うことでフリードキン版『恐怖の報酬』は生まれた。それは『恐怖の報酬』で描かれた男たちの運命的な出会いと重なって見える。2人の映画監督の出会いこそ『魔術師』がなしえる劇的な演出だったのかもしれない(フリードキンはタイトルの意味を明確に説明していない)。



文:稲垣哲也

TVディレクター。マンガや映画のクリエイターの妄執を描くドキュメンタリー企画の実現が個人的テーマ。過去に演出した番組には『劇画ゴッドファーザー マンガに革命を起こした男』(WOWOW)『たけし誕生 オイラの師匠と浅草』(NHK)など。現在、ある著名マンガ家のドキュメンタリーを企画中。


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作品情報を見る


『恐怖の報酬 オリジナル完全版』

11月24日(土)より、シネマート新宿、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか

全国順次ロードショー

Copyright © MCMLXXVII by FILM PROPERTIES INTERNATIONAL N.V. All rights reserved.

公式サイト: http://sorcerer2018.com/


※2018年12月記事掲載時の情報です。

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