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『インランド・エンパイア』デヴィッド・リンチが誘う奇妙な世界の先にあるのは、映画を通じた救済なのか

『インランド・エンパイア』デヴィッド・リンチが誘う奇妙な世界の先にあるのは、映画を通じた救済なのか

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わたしたちが映画を通じて得られるもの



 わたしたちは、映画を観てなにを思うのか。泣いて、笑って、時には悲しんで、多様な感情に溺れることだろう。しかし、本当にそれだけだろうか。映画の中の登場人物は、わたしたち自身の背景とリンクし、思いがけない共通点を見いだすことさえある。


 大げさな言い方をすれば、映画というのは、時に人々の人生さえをも一変させる、そうした魔力を宿しているのだ。映画に備わる可能性は、限りなく広大で、無限なのである。


 カルトの帝王こと、デヴィッド・リンチ監督は、その鬼才たりうる能力を最大限に機能させ、“映画と観客”の相互作用を題材に、奇譚『インランド・エンパイア』(06)を完成させた。リンチ監督のこれまでのフィルモグラフィと同様に、この作品も、複雑怪奇な作風を特色としている。しかし、主軸となるテーマは至って明白だ。これは、わたしたち自身を描いた身近な物語なのである。



 映画はいわば魔法のように、観客の心を突き動かす。映画を観る前と観た後とでは、世界が違って見えるはずだ。どんなに深刻な悩みでさえも、一度素晴らしい作品に邂逅すれば、些細な事柄に思えてくる。時に映画というのは、その後の人生の“生き方”を左右する、聖書のような役目さえ果たすのだ。そう、私たちにとって映画というのは、人生をより豊かに生きるためのバイブルなのだろう。


 『インランド・エンパイア』における、ある登場人物の女性は、わたしたちと同じ、悩める存在だ。しかし、彼女もまた往々に、映画という媒体を通じて、その後の人生を一変させる。


 この作品は、「映画を通じて人生を見出した、あるひとりの女性の物語」だ。この映画に登場するポーランド人の若い女性(ロスト・ガールと呼ばれている)を、あなた自身に置き換えてみてほしい。すると、どうだろう。そういうふうなテーマが自然と浮き彫りになるはずだ。


 さらに、忘れてはいけないのが、リンチ監督自身もまた、映画によって人生を見出した、数多くの存在の中のひとりだということを。あなたはもう、この映画の重要性に気づいていることだろう。映画は人生を変えるのだと。



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