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『イレイザーヘッド』デヴィッド・リンチはなぜ、胎児の悪夢を描くのか?

『イレイザーヘッド』デヴィッド・リンチはなぜ、胎児の悪夢を描くのか?

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25人中24人をリピーターにさせた、伝説のカルト映画



“In Heaven

Everything is fine

You got your good thing

And I've got mine


天国なら、すべてがうまくいく

あなたにもわたしにも、

いいことが訪れる”


 ラジエーターの中に住む異形の少女が、こんな歌を口ずさみながら、上から降りかかってくる精子を片っ端から踏みつける…。我ながら意味不明の文章だが、別に筆者の頭がトチ狂った訳ではない。鬼才デヴィッド・リンチ監督作品、『イレイザーヘッド』(77)のワンシーンを素描しただけだ。


 『イレイザーヘッド』といえば、今やカルト映画の代名詞的作品。シュールレアリズム全開のナンセンス・ストーリー、モノクロームに彩られた奇怪なビジュアル、神経を逆撫でするインダストリアル・ノイズ。観た者の脳内に、一生忘れることのできない記憶が刻まれる、激ヤバムービーである。1977年にロサンゼルスで初演された時の観客はたった25人だったが、あまりに強烈な映画体験だったために、そのうち24人が次回上映に駆けつけた、というエピソードはあまりに有名だ。



 映画関係者が受けた衝撃も凄かった。『エイリアン』(79)のクリーチャー・デザインで知られる芸術家H. R.ギーガーは、『イレイザーヘッド』を「これまでに見た中で最高の映画の1つ!」と絶賛。スタンリー・キューブリックは『シャイニング』(80)の撮影中に、キャストを集めて本作を鑑賞させたという。『スター・ウォーズ』シリーズで知られるジョージ・ルーカスは、『スター・ウォーズ エピソード6/ジェダイの帰還』(83)の監督を打診するほど、デヴィッド・リンチの才能に惚れ込んだ(しかし、リンチはそれをすげなく断った)。


 シュールレアリズムの極北とも言うべき『イレイザーヘッド』は、多くの人々を熱中させた。しかし実は本作は、デヴィッド・リンチの当時の心境を真っ正直に告白した、私小説的な映画だったのである。



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