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『スカーフェイス』50秒に1回「FUCK!」を連呼!サイコーにサイテーな真性不良映画※注!ネタバレ含みます。

(c)Photofest / Getty Images

『スカーフェイス』50秒に1回「FUCK!」を連呼!サイコーにサイテーな真性不良映画※注!ネタバレ含みます。

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The World is Yours(世界はあなたのもの)



 自分のボスだったフランク(ロバート・ロッジア)を殺害し、彼の愛人だったエルヴィラ(ミシェル・ファイファー)を手に入れ、名実ともに麻薬王へとのし上がったトニー。ふと明け方の空を見上げると、パンアメリカン航空の「The World is Yours(世界はあなたのもの)」という広告飛行船が目に入ってくる…。


 「The World is Yours」というフレーズは、オリジナルの『暗黒街の顔役』にも使われているモチーフだ。主人公のギャング・トニー・カモンテ(ポール・ムニ)は、妹チェスカー(アン・ヴォーザーク)の裏切りによって、アパートを警官隊に包囲されてしまう。密告したものの兄への愛情を捨てきれないチェスカーは、トニーと共に銃撃戦に協力するが、銃弾を受けて死亡。最愛の妹を失って絶望に苛まれたトニーはよろよろと路地へ出るが、そこに待ち構えていた警官に射殺される。倒れた彼の頭上できらめくネオンサインに書かれていた文字が、「The World is Yours」だったのだ。



(C) 1983 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.


 トニー・モンタナが明け方の空を見上げたとき、彼の人生は前途洋々だった。「世界の全てを手に入れたい」と豪語するトニー・モンタナにとって、「The World is Yours」は神の啓示のように思えただろう。わざわざ邸宅の噴水に、このフレーズが刻まれた像を作ってしまうくらいなのだから。


 ブライアン・デ・パルマはオリジナルの『暗黒街の顔役』以上に、映画を貫くモチーフとして「The World is Yours」を際立たせようと考えた。この物語はある一人の男の成功と破滅を描いた物語なのだから、映像的にもそれを補完しなくてはいけない。



(C) 1983 UNIVERSAL STUDIOS. ALL RIGHTS RESERVED.


 デ・パルマは路地ではなく、戦いの舞台をトニー邸の二階に固定し、彼が背後から撃たれて噴水に落下する、という内容に作り変える。彼が死を迎えた瞬間、「The World is Yours」は見上げるべきものではなく、これ以上先に未来はないという意味で、眼下に見下ろすものでなくてはいけないからだ。噴水に落下したトニーは、うつ伏せの状態で絶命する。もはや、「The World is Yours」を見上げることもできない。


 筆者はこの映画を見返すたびに、ラストシーンの寂寞とした哀しみに心を持って行かれてしまう。『スカーフェイス』が真に賞賛されるべきは、目を覆いたくなるような暴力描写やFワードの多用ではなく、むしろその真逆のセンチメンタリズムにある、と密かに確信しているのである。



文: 竹島ルイ

ヒットガールに蹴られたい、ポップカルチャー系ライター。WEBマガジン「POP MASTER」主宰。



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『スカーフェイス』

Blu-ray: 1,886 円+税/DVD: 1,429 円+税

発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

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※2019年12月の情報です。


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