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  4. 『リチャード・ジュエル』正義を安易に信じるな。90歳になるクリント・イーストウッドが映画に込めたもの
『リチャード・ジュエル』正義を安易に信じるな。90歳になるクリント・イーストウッドが映画に込めたもの

『リチャード・ジュエル』正義を安易に信じるな。90歳になるクリント・イーストウッドが映画に込めたもの


FBIは科学的根拠のないプロファイリングを信じた



 それにしても、ジュエルはなぜ、第一発見者から第一容疑者になったのか?そこが本作の鍵でもある。ことの発端は、ジュエルがかつて警備員として勤務していた大学の学長が、TVインタビューを受けるジュエルを見て、FBIに通報したことに始まる。大学に勤務していた時のジュエルが、学内の問題点に過剰に反応する行動をよく取っていたことを学長は思い出し、ジュエルに爆弾設置の可能性があることを指摘したのだ。つまり、勝手な憶測である。


 そこに素早く反応したFBIは、憶測を正統化するためにプロファイリングを強引に適応する。プロファイリングとは、犯罪捜査に於いて、犯罪の性質や特徴から”こういう犯罪の犯人はこういう人が多い”という結果を割り出す統計学である。そこに何ら科学的根拠はない。




 法執行官への憧れからくる過剰な正義感、ヒーローになりたい願望、それ故に常時抱え込む孤独、独身、白人、さらに、マザコン(息子の無実を信じる母親のボビをキャシー・ベイツが好演)、肥満、等々のジュエルのデータが、”テロの犯人像”というプロファイルと合致したのだ。


 映画ではこの重要な部分を、ジョン・ハム演じるFBI捜査官トム・ショウの素早い台詞でカバーするだけなので、注意してみて欲しい。因みに、南カリフォルニアで発生した山火事で、自ら火を放った直後、消火して英雄となった消防士のケースや、ロサンゼルス・オリンピック開催中にバスに爆弾を設置し、直後に発見してヒーローとなった警備員のケースなども、ジュエルの場合と関連づけられる。



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