1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. 15時17分、パリ行き
  4. 『15時17分、パリ行き』イーストウッドが作り続ける「教育」映画の最新アップデート
『15時17分、パリ行き』イーストウッドが作り続ける「教育」映画の最新アップデート

(C)2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited, RatPac-Dune Entertainment LLC

『15時17分、パリ行き』イーストウッドが作り続ける「教育」映画の最新アップデート

PAGES


※2018年3月記事掲載時の情報です。


『15時17分、パリ行き』あらすじ

2015年8月21日、アムステルダム発パリ行きの高速列車タリスが発車した。フランス国境内へ入ったのち、突如イスラム過激派の男が自動小銃を発砲。乗務員は乗務員室に逃げ込み、500名以上の乗客全員が恐怖に怯える中、幼馴染の3人の若者が犯人に立ち上がったー。


Index


イーストウッド最大のテーマ「教育」



 クリント・イーストウッド監督の最新作『15時17分、パリ行き』は3人の青年が無差別テロによる殺戮を未然に防いだ実話をもとにした作品だ。実際に事件を体験した本人たちの半生と事件現場を一切の脚色なしに再現するという前代未聞の手法で、上映時間は94分。イーストウッド作品史上最も短いランニングタイムとなった。映画的な虚飾(ウソ)を極限までそぎ落とし、彼はこの作品で何を伝えたかったのか。それはイーストウッド作品の根底に流れ続ける重要なテーマ、「教育」と「伝承」に大きな手掛かりがある。



『15時17分、パリ行き』(C)2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited, RatPac-Dune Entertainment LLC


 クリント・イーストウッドのフィルモグラフィはアメリカ映画のジャンル見本市かのようにバラエティ豊かだ。アクション、サスペンス、戦争、恋愛、スポーツ、音楽・・・。


 現在までの監督作は34本を数えるが、その中でイーストウッドが最も大切にしてきたテーマこそ「教育」である。分かりやすく言えば、成長物語、「ビルドゥングスロマン」だ。日本流にいえば「師弟物語」で、かの黒澤明が好んで描いたテーマでもある(『 七人の侍』『 野良犬』などで志村喬と三船敏郎の関係性は常に師弟としてデザインされた)。イーストウッドも師匠が未熟な弟子を教え諭し、ひとかどの「大人」へと成長させる物語を様々なパターンで描いてきたのだ。



PAGES

この記事をシェア

メールマガジン登録
counter
  1. CINEMORE(シネモア)
  2. 映画
  3. 15時17分、パリ行き
  4. 『15時17分、パリ行き』イーストウッドが作り続ける「教育」映画の最新アップデート