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『リチャード・ジュエル』正義を安易に信じるな。90歳になるクリント・イーストウッドが映画に込めたもの

『リチャード・ジュエル』正義を安易に信じるな。90歳になるクリント・イーストウッドが映画に込めたもの


適役を得て溢れ出る優しさの意味は



 ジュエルを演じるのは、『アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル』(17)でナンシー・ケリガン襲撃事件の首謀者を、また、『ブラック・クランズマン』(18)では白人至上主義団体、クー・クラックス・クランのメンバーを演じた、ポール・ウォルター・ハウザーだ。彼は、アメリカのホワイト・トラッシュ(白人貧困層)に属するようなキャラクターを得意としている。


 監督のイーストウッドをして、「ポールはまさにこの役を演じるために生まれて来たようなものだ」と言わしめたハウザーは、ジュエルの関する資料や映像をヒントに、実物とそっくりの雰囲気を作ることに成功している。そのふくよかな体から、ジュエルが根底に持っていたイノセンスと叶うことがなかった夢への渇望が溢れ出る様子は、まさにハウザーならではのものだ。




 そんなジュエルを信じて、権力とメディアと世論に立ち向かっていく弁護士ワトソン・ブライアント。彼を演じるサム・ロックウェルのそこはかとない温かみも、作品に独特の優しさをもたらしている。


 そう、世の矛盾を撃つ銃弾の威力は相変わらずでも、全編を覆う優しさの度合いはかつてないほど増している。これほど感情に訴えかけてくるイーストウッド映画は珍しいと思う。もしかして、長寿の秘密はそこにあるのかもしれない。


参考文献: Richard Jewell Case Study by Ronald J. Ostrow



文 : 清藤秀人(きよとう ひでと)

アパレル業界から映画ライターに転身。映画com、ぴあ、J.COMマガジン、Tokyo Walker、Yahoo!ニュース個人"清藤秀人のシネマジム"等に定期的にレビューを執筆。著書にファッションの知識を生かした「オードリーに学ぶおしゃれ練習帳」(近代映画社刊)等。現在、BS10 スターチャンネルの映画情報番組「映画をもっと。」で解説を担当。 



作品情報を見る




『リチャード・ジュエル』

2020年1月17日(金)全国ロードショー US公開:12月13日(金)

(c) 2019 VILLAGE ROADSHOW FILMS (BVI) LIMITED, WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC

公式サイトURL:richard-jewell.jp

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