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『ムーラン・ルージュ』の名匠バズ・ラーマンを支えた父の言葉と、インド映画から受けたインスピレーション
20世紀の名曲を散りばめるというアイデア
一方、本作で忘れてはならないのが、全編に散りばめられた名曲の存在だ。ニコール・キッドマンとユアン・マクレガーが魂を込めて歌い上げる楽曲は世界中の感動を呼び、映画のみならずサントラ盤も莫大な売り上げを記録した。では、この既存の名曲を使用するというアイディアはどのようにして浮かんできたのだろう。
一時は従来のミュージカル映画のように、オリジナル曲を散りばめることも考えたという。だがそれでは説得力に欠ける。なにしろ主人公は世界一の詩人であり、彼が歌にするもの全てが美しく、木々や川の流れや小石さえうっとり聴き惚れるほどなのだ。
「心のラヴ・ソング」
そこでひらめいたのが、すでに世界中で愛され、誰もが耳にするや瞬時に名曲だと納得できる既成曲を用いるというやり方だ。それらを語り部として物語を紡いでいこう、と。こうして本作の特殊なスタイルが出来上がった。全ての権利をクリアするのは大変な道のりだったと言われるが、その甲斐あって、20世紀が誇る至高のナンバーを、あたかも舞台となる19世紀末から「未来を先取り」するかのように歌い上げることが可能となったのだ。