『コーラスライン』あらすじ
売れっ子ディレクターのザック(マイケル・ダグラス)は新しいショーのために、男女4人ずつのコーラスダンサーを選ぶオーディションを実施。数百人の若者の中から絞られた16人に、ザックは容赦なく様々な質問を浴びせ、生い立ち、両親、家族、性体験、セクシャリティ、整形…など、それぞれの素顔が浮き彫りになっていく。そんな中、オーディション会場にザックのかつての恋人キャシー(アリソン・リード)が駆けつける。彼女はハリウッド女優を目指して彼の元を去ったのだが、夢破れて舞い戻ったのだった。そんな彼女にザックは「コーラスに耐えられるはずがない」と突き放すが、キャシーは「自分にはダンスしかないと」とオーディション参加を懇願。16人の人生模様、そしてザックとキャシーの関係が交錯しながらオーディションは進んでいく。
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予想外の成功を収めたオリジナルの舞台
1981年、NYブロードウェイで新たな記録が生まれた。それまで「グリース」がもっていたロングラン上演の回数を「コーラスライン」が上回ったのだ。1975年にブロードウェイで初演を迎えた「コーラスライン」は、1990年まで6137公演というロングランを記録。その後、ロングラン記録は「キャッツ」、「オペラ座の怪人」に塗り替えられるものの、いまだにブロードウェイの金字塔として語り継がれている作品である。
ミュージカルといえば、多くの作品が夢物語やコメディだった時代(現在もその潮流は大きいが)、「コーラスライン」は画期的な作品だった。もちろんそれまでも、歌って踊る華やかな作品以外に「ウエストサイド物語」、「王様と私」といったシリアスドラマを軸にした名作ミュージカルは存在した。しかし「コーラスライン」が特殊だったのは、ダンサーたちのオーディション風景に物語を限定したことだった。観客が目にする空間は、オーディションが行われる「劇場のステージ」なので、装置もじつにシンプル。いくつかのシーンで巨大な鏡が使われたりもするが、基本はオーディションを受けるダンサーたち、そのものの姿を観続けることになる。
このようなミュージカル作品がメジャーの人気をつかむとは、誰が予想しただろう? 1975年4月、客席299のジョセフ・パップ・パブリック・シアターで始まった公演は、たちまち話題を呼び、客席数の多い劇場へ移動。さらに同年の7月、ブロードウェイの劇場街でも有名なシューバート・シアターに移り、ロングランを続ける。