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『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』ロックとポップと片割れ探し

『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』ロックとポップと片割れ探し

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“愛の起源”を歌い上げた屈指の名曲「オリジン・オブ・ラブ」



 ロックミュージカル『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』(2001)は、ミュージカルとしてもロックンロールの文脈においても名曲の宝庫だ。冷戦時代の東ベルリンに生まれた主人公“ヘドウィグ”が、雑な性転換手術で女性になりきることもできないまま、ケバケバしいメイクと衣装に身を包み、波乱に満ちた半生を赤裸々に歌に載せて語る。すべての楽曲は、“ヘドウィグ”を演じ映画版の監督も務めたジョン・キャメロン・ミッチェルのためにロックミュージシャンのスティーヴン・トラスクが書き下ろしたものだ。


 『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の映画は1998年の初演されたオフブロードウェイの同名舞台をもとにしているが、ミュージカル舞台になるまでには4年の歳月が費やされた。当時、トラスクはNYのドラァグクイーンショーのクラブ「スクイーズボックス」の音楽ディレクターをしており、デボラ・ハリージョーイ・ラモーンのようなロックセレブも出演していた。そのステージに、ジョン・キャメロン・ミッチェルが“ヘドウィグ”として登場。ブロードウェイで活躍する舞台俳優だったミッチェルが、本物のドラァグクイーンに混じって披露するパフォーマンスが話題となり、時間をかけてミュージカルという形に発展していったのだ。


 そしてトラスクが“ヘドウィグ”のために書いた最初の曲であり、『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』という作品を象徴しているのが「オリジン・オブ・ラブ」だ。“ヘドウィグ”は、神話の時代にさかのぼり、かつて人間は二人一組の生き物で、神の怒りに触れて引き離されたのだと歌う。人間は、引き裂かれ、世界のどこかに散ってしまった片割れを探し求めるようになる、それが“愛の起源(オリジン・オブ・ラブ)”だというのである。


 映画の中では、エミリー・ハブリーが手がけた素晴らしいアニメーションによって語られるこの曲は、映画のラストで再び流れ“ヘドウィグ”の物語にひとつの決着をつける。


 どこかにいる自分の片割れを見つけ出せば、本当の自分が見つかるはず。このロマンチックだが悲痛な探索が“ヘドウィグ”の物語といえる。そして“ヘドウィグ”の願いがシンプルであればあるほど、この映画は性差も性的嗜好も超えて、誰もが“自分も同じ”だと感じられるのだ。




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