『ブレードランナーファイナル・カット』IMAXデジタルシアター上映徹底レポート！

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2019.09.07尾崎一男

最高の視聴環境を、ルトガー・ハウアーの思い出とともに

　とはいえ、こうして画面や音響の差異を確認しつつ鑑賞したのは最初だけで、後はIMAXで観ているということすら忘れ、ひたすら映画に没頭してしまった。

　もちろん、そこにはIMAXという好環境が大きく起因しているのだが、個人的にはレプリカントのロイ・バッティを演じた、ルトガー・ハウアーの没後に観る初めてのスクリーン上映だということが作用している。わずか4年という寿命設定に抗い、記憶を欲して逃亡したレプリカントの悲哀を、比類なき演技力で表現したハウアー。

　デッカードとの戦いを経て力尽き、死んでいくロイのラストショットに、いやがうえにも彼の存在が重なる。そんな稀代の名優の姿を大きなスクリーンで仰ぎ見るのは、2019年を迎えての上映以上にタイムリーなものといえるかもしれない。改めて哀悼を。

文：尾崎一男（おざき・かずお）

映画評論家＆ライター。主な執筆先は紙媒体に「フィギュア王」「チャンピオンRED」「映画秘宝」「熱風」、Webメディアに「映画.com」「ザ・シネマ」などがある。加えて劇場用パンフレットや映画ムック本、DVD&Blu-rayソフトのブックレットにも解説・論考を数多く寄稿。また“ドリー・尾崎”の名義でシネマ芸人ユニット［映画ガチンコ兄弟］を組み、TVやトークイベントにも出没。

Twitter: @dolly_ozaki

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作品情報を見る

『ブレードランナーファイナル・カット』

製作：1982 年・2007年

原題：BLADE RUNNER: THE FINAL CUT

本編時間：117分