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『ブレードランナー ファイナル・カット』IMAXデジタルシアター上映徹底レポート!

TM & (c)2017 The Blade Runner Partnership. All Rights Reserved.

『ブレードランナー ファイナル・カット』IMAXデジタルシアター上映徹底レポート!

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『ブレードランナー ファイナル・カット』

スペクタクルなビジュアル、鮮烈なアクション、そしてその予言的な内容で、今なお絶大な支持を得ている『ブレードランナー』が、未公開シーンや特殊効果シーンを加えた監督リドリー・スコットの手による真のファイナル・カットとして甦る。ハリソン・フォードの好演により、21世紀の特殊捜査官リック・デッカードのキャラクター造形 -強靱さと脆さという相反する面を併せ持つ- は確立され、命を吹き込まれた。テクノロジーの進化にもかかわらず、随所に廃退の匂う近未来を舞台に、デッカードは逃亡した凶悪なレプリカントを追う。-やがて、神秘的な女性との出会いが彼の運命を大きく変えていくとも知らずに。


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『2001年宇宙の旅』IMAX上映に比肩するベスト企画



 1982年の公開から絶えることなくファンを生み、現在もカルトな人気を得ている近未来SF映画『ブレードランナー』が、超大型スクリーンを誇るIMAXデジタルシアターで上映の運びとなった。記憶を求めて逃走したレプリカント(人造人間)と、彼らを追うブレードランナー特捜班との戦いを描いた本作の時代設定は2019年。現実の時代が映画に到達したタイミングでの再公開は、じつに気の利いた好企画といえる。なによりファンにとっては、究極的な上映スタイルで同作と接することのできる、またとない機会だろう。


 この『ブレードランナー』IMAXエクスペリエンス版(以下:IMAX版)は、続編として製作された『ブレードランナー 2049』(17:監督/ドゥニ・ヴィルヌーヴ)の公開に併せ、アメリカの一部地域で、1晩のみ上映された実績を持つ(今回の国内公開は、このDCPに日本語字幕を加えたもの)。そして上映のベースとなるのは、2007年に公開された「ファイナル・カット版」だ。


『ブレードランナー ファイナル・カット』予告


 『ブレードランナー』最大の特徴ともいえる「バージョン違い」を解説するのが目的の記事ではないので概略に留めるが、「ファイナル・カット版」はオリジナルの劇場公開版からナレーションとハッピーエンドを抜き、監督リドリー・スコットの意図に近づけた「ディレクターズ・カット/最終版」(92)の精度を高めたものだ。撮影や編集のミスによる矛盾の修正や、特殊効果ショットの一部変更ならびに修正、そして未公開シーンの挿入がデジタルベースでおこなわれている。


 これらの作業にあたり、35mmフィルムで撮影された本編パートのオリジナルネガを4Kで、そして65mmフィルムで撮られた特撮パートのオリジナルネガを8Kでスキャン。最終的に後者の8K要素は4Kへと変換され、この4Kデジタルデータが「ファイナル・カット版」のオリジナルフォーマットとなっている。今回のIMAX版は、これをIMAX DMRという特殊処理を経て同フォーマットに変換したものである。



『ブレードランナー ファイナル・カット』TM & (c)2017 The Blade Runner Partnership. All Rights Reserved.


 もとより『ブレードランナー』の撮影では、高い解像度を持つ65mフィルムを併用していることから、昨年おこなわれた『2001年宇宙の旅』(68)のIMAXデジタルシアターでの製作50周年を記念上映を対象として挙げずにはおれない。もっとも『ブレードランナー』の場合、65mmの使用は光学合成による画質の劣化を低減させるためで、スーパーシネラマという巨大湾曲スクリーンでの上映も前提としてあった『2001年宇宙の旅』とは主目的が異なる。


 ただどちらも、優れた未来的イメージの数々を、同じ高精細な撮影フォーマットで創造したという価値を共有しているのだ。なので禁欲的に鑑賞を拒む必要はないだろう。いざ、劇場へ!



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