驚天動地! やりすぎハイパー超弩級アクション!
と、ここまでで『サーホー』の傾向が見えてきただろう。
とにかく、やりすぎなのである。人をビックリさせ続ける物語に、目を疑うような情景。もちろん、そんな傾向はアクションにも現れている。そもそもインド映画の、特にアクション場面は「やりすぎ」が恒常化し、作っている方にも耐性がついて「これじゃ足りないんじゃないか?」と、作品を追うごとに「やりすぎ」が加速している現状がある。
主人公に殴られた悪漢は4〜5メートル吹き飛び、車のフロントガラスを突き破ってリアウィンドウから飛び出していく。地面に叩きつけられたチンピラはバウンドして頭の高さまで跳ね上がり一回転して蹴られて飛んでいく。そんな描写が溢れるインドのアクション映画界において最新作である『サーホー』は、インド映画史上(今のところ)もっとも「やりすぎ」ている作品だと言えるだろう。
ガン・アクションだってキメキメの盛り盛りだ。かつてジョン・ウーが『男たちの挽歌』(86)などで白いハトを飛ばし、二丁拳銃横っ飛びの様式美を確立し、ハリウッドでは『リベリオン』(02)でクリスチャン・ベールが披露した「ガン=カタ」や『ジョン・ウィック』(14)の「ガン・フー」といった「拳銃を撃つポーズの美学」を生み出していった。その美学に新しいページが加わることになる。『サーホー』では男女のペアが華麗に舞いながら拳銃を撃ちまくるのだ。
また、高級スポーツカーを爆走させるカーチェイスに、燃え上がる事故車のわきをすり抜けるバイクチェイス。加えて、新しモノ好きなインド映画らしいジェットウィングを駆使した空中戦まで用意されている。
予測不能なストーリー! 百花繚乱のミュージカル・ナンバー! 驚天動地なやりすぎハイパー超弩級アクション! 【万歳(サーホー)・ワールド】の幕は上がった!
イッツ・ショータイム!
文: 侍功夫
本業デザイナー、兼業映画ライター。日本でのインド映画高揚に尽力中。
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『サーホー』
3月27日(金)新宿ピカデリー他にて全国ロードショー!
配給:ツイン