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超大作『パドマーワト 女神の誕生』にみるインド映画の“事件” 映画の力でインドの観客を圧倒
2020.04.06
※2019年6月記事掲載時の情報です。
『パドマーワト 女神の誕生』あらすじ
13世紀末、シンガル王国の王女、パドマーワティは、西インドの小国、メーワール王国の王、ラタン・シンと恋に落ち、妃となった。同じころ、北インドでは、叔父を暗殺した若き武将、アラーウッディーンが、イスラム教国のスルタン(王)の座を手に入れていた。獰猛で野心に満ちた彼は、第二のアレキサンダー大王との異名を持つほどに、その権勢を広げていく中、絶世の美女、パドマーワティの噂をききつけ、メーワール国に兵を差し向けるが、堅牢な城壁と、誇り高いラージプート族の王であるラタン・シンの抵抗により、パドマーワティの姿を見ることも許されなかった。一計を案じたアラーウッディーンは、ラタン・シンを拉致してパドマーワティを自らの城におびき寄せるが、彼女の勇気ある救出策によりラタン・シンは奪い返され、遂に総力をメーワール王国に向かわせる。城を取り囲むアラーウッディーンの大軍勢と睨みあうメーワール王国の兵士たち。やがて始まる、王と王の誇りと野望を懸けた最後の戦い。そして、圧倒的に不利なその戦に、パドマーワティは、ある決意をもって臨んでいた…
『きっと、うまくいく』(09)の大ヒットから、『バーフバリ』(15〜17)連作の1年を越えるロングラン上映に、「応援上映」チケット争奪戦と劇場の熱狂など。近年日本では優れたインド映画の話題が引きも切らずに続いている。また、小規模ながら『ダンガルきっと強くなる』(16)『パッドマン 5億人の女性を救った男』(18)『バジュランギおじさんと、小さな迷子』(15)など、良作・話題作の上映も好評を博しているようだ。
そんな中、もはや“事件”と呼んでもよいであろう超大作が上映される。その作品こそ『パドマーワト 女神の誕生』である。
Index
日本在住インド人向け上映で満席を記録
『パドマーワト 女神の誕生』だが、実は日本での上映は今回が初めてでは無い。本作を配給する「SPACEBOX」は、もともと日本在住のインド人向けに、インド映画のヒット作や話題作を日本で企画上映している会社である。『パドマーワト 女神の誕生』もインド人向けに英語字幕版の上映が、すでに日本で開催されていた。
『パドマーワト 女神の誕生』予告
ただし。普段は100席ほどの会場で上映するのだが、この『パドマーワト 女神の誕生』に関しては500席を越える、いわゆる「大箱」をおさえ、あまつさえその「大箱」を、殺到した日本に住むインド人たちで満席にしたのだ。
さらに。普段は指笛や声援で喧しいインド人観客たちに終始息を呑ませ続け、映画の力で観客を圧倒したのである。
『パドマーワト 女神の誕生』の何がインド人観客たちを圧倒したのかを詳らかにしていきたい。