※2019年10月記事掲載時の情報です。
『ロボット2.0』あらすじ
ある日、突然、インドの街からすべてのスマートフォンが消えた。そして携帯業者や通信大臣がスマホに殺されるという殺人事件が次々に発生。バシー博士(ラジニカーント)は助手のニラー(エイミー・ジャクソン)とスマホの行方を追ううちに、無数のスマホが合体し巨大な怪鳥に変身していることが判明。やがてその巨大怪鳥は人類を襲いだし、軍隊でも抑えきることのできないモンスターと化す。バシー博士は、かつて封印された、あの伝説のロボット「チッティ」を復活させ、人類を守ることを思い立つ。しかしそれはインド中を巻き込んだ、壮大なバトルの幕開けとなった!
CG表現の進化により、太古に滅んだ恐竜を闊歩させたり、見たことも無い宇宙の住人や、地球を覆ってしまうほど巨大な宇宙船が描かれてきた。もはや表現出来ない描写は無くなったと言っても良いだろう。
始めのうちこそ、それらの映像に驚き感嘆したものだが、もはやそんな驚きも慣れて薄れてしまっている。その原因は「想像力の限界」だ。いかに、表現手段が進化したとはいえ“見たこともないもの”を発想する想像力が追いついていないのだ。
しかし、出尽くしたと思われている今のいまでも、まだまだ“見たこともない映像”を生み出し続けている作家がいる。インドに。
Index
天才マサラSFムービー『ロボット』
メッシュの入ったリーゼント頭にサングラスのオッサンがレゴブロックのように組み合わさり、球体になり、棒や壁になり、ヘビになり、果ては巨大な人型になり大暴れする動画がYOUTUBEで公開されるや、ナンダコレハ!?と話題が話題を呼び、最終的には日本公開が決まり、しかも大ヒットを飛ばした作品がある。
その名も『ロボット』(10)である。
『ロボット』予告
主演は 『ムトゥ 踊るマハラジャ』(95)でおなじみのラジニカーント。共演に94年度ミス・ワールド覇者アイシュワリヤー・ラーイ。さらに、特殊効果には『アイアンマン』(08)のスタン・ウィンストン・スタジオ。アクション場面は『ドランクモンキー 酔拳』のユエン・ウーピン。音楽に『スラムドッグ$ミリオネア』(08)のA・R・ラフマーン、と数々の傑作映画を作ってきた天才たちが『ロボット』1本に結集している。天才がマサラ(インドの料理用語で様々な香辛料を混ぜ合わせたものを指すが、転じて様々な要素が入りまくったインド映画も指す)状態なのである。
ロボット工学博士 バシーガランにより軍事利用を視野に入れて作られた人型ロボットの“チッティ”。街の不良を懲らしめ、汚職警官を(文字通り)痛い目にあわせるなどの活躍を見せる。しかし、大火事のマンションから入浴中の少女を裸のまま衆人の前へ助け出してしまったことで、彼女をなかば自殺のような形で交通事故死させてしまう。
この事からバシーガランはチッティに「感情」をプログラムするのだが、とたんにバシーガランのフィアンセ、サナに「恋」をしてしまう。あげく、軍へのプレゼンの最中に愛を説き、相手をあきれさせてしまう。
絶望したバシーガランはチッティを破壊し捨ててしまうのだが、バシーガランのライバル、ボラ博士に回収され、今度は人殺しを厭わないプログラムを施されてしまう。すると、今度はボラ博士を殺害し、工場を乗っ取り“自分”を大量生産し「悪のロボット軍団」を結成してしまう。というのが 『ロボット』あらすじだ。
『ロボット』冒頭映像
「ツッコミどころ満載」といった斜に構えた態度をねじ伏せて、心地よく急転直下を繰り返す物語に、ユエン・ウーピンによるアクロバティックなカンフーアクション。並外れたイマジネーション(いまだかつて、血を吸った蚊を捕まえて謝罪させる場面、なんていうものを思いつき映像化する映画作家は存在しただろうか?)。これらに、ブラジルのレイソイス・マラニャンセス国立公園やマチュピチュで撮影された美しいミュージカルシーンが加わる。とっちらかったような要素を一本に纏め上げるテーマが「愛」だ。
見たことも無い物語と映像を驚天動地の発想力で創り上げ、愛でまとめた伝説的名作『ロボット』の続編が『ロボット2.0』である。