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『ツイン・ピークス (TVシリーズ)』デヴィッド・リンチの<赤>と 『ウエスト・サイド物語』の<赤>

『ツイン・ピークス (TVシリーズ)』デヴィッド・リンチの<赤>と 『ウエスト・サイド物語』の<赤>


デヴィッド・リンチとマイケル・ジャクソンの意外な関係



 そもそも、デヴィッド・リンチ監督の作品には、クエンティン・タランティーノ監督などと同様に、キャリアの低迷していた“忘れられたスター”をキャスティングすることによって、そのこと自体が作品の魅力にもなっているという特徴がある。


 例えば、『ブルーベルベット』(86)ではデニス・ホッパーを、『ワイルド・アット・ハート』(90)ではダイアン・ラッドを、『ロスト・ハイウェイ』(97)ではロバート・ブレイクを起用。「ツイン・ピークス」でも、パイパー・ローリーやペギー・リプトンといった“忘れられたスター”をキャスティングしていた。『ウエスト・サイド物語』で共演していたリチャード・ベイマーとラス・タンブリンのキャスティングにも、同様の“再生工場”としての役割がある。



 マイケル・ジャクソンは「今夜はビート・イット」や「BAD」のPVで『ウエスト・サイド物語』のダンス場面をモチーフにしていたが、デヴィッド・リンチはマイケル・ジャクソンのアルバム「DANGEROUS」のティザー映像を監督したという意外な繋がりがある。マイケルはリンチの出世作『エレファントマン』(80)に感銘を受けたと述懐。見世物として世間に晒されてしまうエレファントマンの姿に自身を重ね、共感したのではないだろうか。


 残念なことに、このエピソードには尾鰭がついて「マイケルはジョン・メリック(エレファントマンのモデルとなった人物)の骨を購入しようとした」とのゴシップが生まれた。後年、マイケルはオプラ・ウィンフリーの番組内でこの事実を否定。さらに、この騒動を逆手にとって「Leave me alone」のPV内では、ゴシップ紙の当該記事を読んで見せたり、エレファントマンの人骨と踊って見せたりと自嘲的なパロディを実践している。世間から“変わり者”と見られていたという点で、リンチとマイケルには共鳴するものがあったのではないか?と推し量ることもできる。



 そして、<ダンス>=<踊り>というモチーフもまた、長編デビュー作である『イレイザーヘッド』(77)から実践されている、デヴィッド・リンチ作品には欠かせない要素のひとつ。「ツイン・ピークス」では、シェリリン・フェン演じるオードリーのダンスのような身のこなしも印象的で、アンジェロ・パダラメンティがオードリーのライトモティーフとして作曲したテーマ曲は、まさに「Audrey’s Dance」=「オードリーのダンス」というタイトルだった。


 さらにもう一曲、マイケル・J・アンダーソン演じる全身赤い衣装に身を包んだ小柄な男が、“赤い部屋”で踊る場面で流れる「Dance of the Dream Man」=「ダンス・オブ・ザ・ドリーム・マン」。この曲は「ツイン・ピークス」の“もうひとつのメインテーマ”とも言える楽曲で、リンチ作品における<ダンス>=<踊り>が、どこか現実世界とは異なる世界へと誘う、映画的な装置のような印象を与える由縁にもなっている。



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