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デヴィッド・リンチ監督作『ワイルド・アット・ハート』が、『オズの魔法使』を引用している理由とは

(c)Photofest / Getty Images

デヴィッド・リンチ監督作『ワイルド・アット・ハート』が、『オズの魔法使』を引用している理由とは

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異能の映画人が描く、狂気をはらんだ逃避行



 長い映画史の中を覗くと、逃避行を描いた作品は、ごまんとある。しかし『ワイルド・アット・ハート』(90)は、過去の作品のどれとも異なる、狂気と情熱、そして暴力とを合せた、男女の逃避行を描き出している。道徳心をひどく刺激し、内なる欲望を解き放たんとする、まさに薬物のような映画なのだ。


 また、そういうアンモラルな側面とは相反し、若き男女のあり余る愛を描く、極めて刹那的なラブストーリーも展開する。いわば、人間の愚かさと美しさとを称える、ある種の讃美歌のような作品だ。



 映画の舞台は、アメリカ南部。蛇革ジャケットのセイラー・リプリー(ニコラス・ケイジ)と、彼の恋人ルーラ・ペース・フォーチューン(ローラ・ダーン)は、愛という情欲に身をまかせ、カリフォルニアへと旅に出る。ふたりの愛の妨げとなるのは、ルーラの実母マリエッタ・フォーチューン(ダイアン・ラッド)の存在だ。娘に対する病的なまでの愛情は、ゆがんだ衝動に表れた。裏社会に通じる殺し屋を送り込み、セイラーを殺害しようというのだ。セイラーとルーラの逃避行は、愛を引き裂く魔の手によって、犯罪と暴力、そして欲望に支配された奇妙な様相を呈してゆく……。


 メガホンを握るのは、『イレイザーヘッド』(76)、『エレファント・マン』(80)など、数々の優れた――それでいて奇抜な――作品を生み出し続ける、奇才デヴィッド・リンチ監督だ。本作『ワイルド・アット・ハート』は、批評面、興行面で成功を収めた『ブルーベルベット』(86)以来4年ぶりとなる作品で、『ブルーベルベット』の一流スタッフ、キャストが再び集結している。



 ルーラ役には、前作『ブルーベルベット』でカイル・マクラクランの恋人役を演じたローラ・ダーンが抜てき。『インランド・エンパイア』(06)や「ツイン・ピークス」(90-17)など、リンチ作品には度々顔を覗かせる、リンチにとってはミューズ的な存在である。ローラといえば、彼女の実母で、女優のダイアン・ラッドも脇を固めている。映画内でも親子役で共演しているので、そういう事情を知っていれば、さらに楽しめることだろう。


 ローラ同様、リンチ・ファミリーからはイザベラ・ロッセリーニも出演。リンチと初めて組んだ前作『ブルーベルベット』では、場末のクラブ歌手を優艶に演じ切り、今作『ワイルド・アット・ハート』では、怪しげな娼婦を怪演している。さらに、リンチとは『イレイザーヘッド』以来の盟友である、ジャック・ナンスも友情出演。ロケット工学に精通している謎の中年という奇妙な役どころを演じている。



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