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『ミッドナイト・ラン』二人の名優の芝居が極上のケミストリーを生んだ、バディ・ムービーの金字塔

(c)Photofest / Getty Images

『ミッドナイト・ラン』二人の名優の芝居が極上のケミストリーを生んだ、バディ・ムービーの金字塔

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デ・ニーロ × グローディン 名優二人の芝居から生まれたケミストリー



 マーティン・ブレストの目論見は見事的中する。“名優と讃えられてはいるが、名前では客を呼べない”ロバート・デ・ニーロと、“実力派俳優だが、それ以上に名前で客を呼べない” チャールズ・グローディンの二人によって生み出された芝居のケミストリーは、この映画に大きな魔法をかけた。


 例えば二人が酒場でFBIを名乗り、インチキ試験で本物のお金を偽札と騙して奪ってしまうシーン。二人の息がピッタリで、観ている我々も思わず笑みがこぼれてしまうが、実はほとんどが即興芝居。マーティン・ブレストは二人の才能を信じて、アドリブを大々的に受け入れた。


『ミッドナイト・ラン』予告


 列車でグローディンがデ・ニーロに「動物と経験あるか?インディアン村のニワトリは太ってたな」と尋ねるシーンも、即興芝居。マーティン・ブレストから「デ・ニーロを本気で笑わせるようなことを考えてみろ」と言われて、チャールズ・グローディンは世にも奇妙なセリフを吐いたのだ。すっかり気がほぐれた二人は、「来世だったら友達になれたかな」と長年の親友のように語り合う。ジャックがいつも腕時計を気にしているという設定も、役柄を深く考察した結果によるデ・ニーロ自身のアイデア。ジョージ・ギャロによる卓越したシナリオは、主演の二人による極上のケミストリーによって、より軽妙洒脱な会話劇にブラッシュアップされたのだ。


 ロバート・デ・ニーロはこの演技で、ゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディ部門の主演男優賞候補となり、コメディという新たな分野を開拓。地味な演技派俳優だったチャールズ・グローディンは、その後『ベートーベン』(92)で主演を務めるに至る。名優二人にとって、『ミッドナイト・ラン』は重要なターニング・ポイントとなったのだ。



文:竹島ルイ

ヒットガールに蹴られたい、ポップカルチャー系ライター。WEBマガジン「POP MASTER」主宰。



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『ミッドナイト・ラン』

Blu-ray: 4,200円+税/DVD: 1,429 円+税

発売元:NBCユニバーサル・エンターテイメント

(C) 1988 Universal Studios. All Rights Reserved.

※ 2020年4月の情報です。


(c)Photofest / Getty Images

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