『ミッドナイト・ラン』あらすじ
元警察官で、バウンティハンターのジャック(ロバート・デ・ニーロ)はL.A.マフィアの会計士で逃走中のデューク(チャールズ・グローディン)の逮捕を依頼され、いとも簡単に成功。意気揚々とL.A.行きの飛行機に乗り込むが、なんとデュークは大の飛行機恐怖症でパニックに。搭乗拒否を受けてしまった二人は、列車でL.A.に向かうことになるが・・・。
Index
- コメディから始まったバディ・ムービーの歴史
- アメリカのヤバい司法制度を描いた『ミッドナイト・ラン』
- ロバート・デ・ニーロは名前で客を呼べる大スターにあらず!?
- デ・ニーロ × グローディン 名優二人の芝居から生まれたケミストリー
コメディから始まったバディ・ムービーの歴史
二人組を主人公にすえたバディ・ムービーはの歴史は古い。’30年代に“極楽コンビ”の名前で親しまれたローレル&ハーディや、ヴォードヴィル芸人としてキャリアをスタートさせたアボットとコステロなど、かつてはお笑いコンビによるコメディ映画が主流だった。その流れは、『珍道中シリーズ』でお馴染みのビング・クロスビーとボブ・ホープ、『底抜けシリーズ』のディーン・マーティンとジェリー・ルイスなど、’50年代まで続いていく。
しかし時代が’60年代末にさしかかり、ベトナム戦争を背景としたアメリカン・ニューシネマが台頭してくると、バディも単なるお笑いのボケ・ツッコミの関係から、深い友情で結ばれたホモソーシャル的関係に変化する。ジョン・ヴォイトとダスティン・ホフマン主演の『真夜中のカーボーイ』(69)、ポール・ニューマンとロバート・レッドフォード主演の『明日に向って撃て!』(69)、ジーン・ハックマンとアル・パチーノ主演の『スケアクロウ』(73)などなど、悲劇的結末に向かって疾走するヒューマンドラマが数多く生まれた。
『48時間』予告
イケイケの‘80年代になると、しっとりとした情感をたたえていたバディ・ムービーは、アクション映画いう新しいフェーズに突入。ニック・ノルティとエディ・マーフィ主演の『48時間』(82)、メル・ギブソンとダニー・グローヴァー主演の『リーサル・ウェポン』(87)は、その代表格といえるだろう。人種も性格も異なるキャラクター同士が、時には反発しながらも友情を育み、事件を解決していく。アクションでありながらヒューマンドラマの要素も含んだバディ・ムービーものは、ヒット作を連発。つまり‘80年代においてバディ・ムービーは、“カネになるジャンル”だったのだ。
そんな中、一本の映画がオリジナル脚本で企画される。賞金稼ぎの男と、マフィアから命を狙われる会計士との珍道中を描いた、『ミッドナイト・ラン』(88)だ。