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既製服が物語る『プラダを着た悪魔』におけるパトシリア・フィールドの功績とは?
2020.04.27
パトリシア・フィールドの服選び
各キャラクターの個性を際立たせるためにセレクトされたファッションにも注目して欲しい。監督のデビッド・フランケルが衣装デザイナーに指名したのは、すでにTVシリーズ『セックス・アンド・ザ・シティ』(98~)でシューメイカー、マノロ・ブラニクを世界的なブランドに押し上げた、デザイナー兼スタイリストのパトリシア・フィールドだ。
監督は物語とハイブランドの融合こそが作品の成否を決めることを知っていた。そこで、フィールドはアンドレアの最初の変身シーンのために、誰の目にも分かりやすいシャネルのツイード・ジャケットとロングブーツをセレクト。逆にエミリーには、ヴィヴィアン・ウエストウッドやリック・オーウェンスのアンダーグラウンドな衣装を、また、ミランダにはあえて流行を超越したダナ・キャランとビル・ブラスのアーカイブから過去の逸品をセレクトする。
『プラダを着た悪魔』ミランダとアンドレア (C)2012 Twentieth Century Fox Home Entertainment LLC. All Rights Reserved.
こうして、服によるキャラクター分けが行われた。フォックスが衣装代として計上したのは10万ドルだが、実質はその10倍に値すると言われている。各ブランドとフィールドの間で長年培われた信頼によって、高価な服やジュエリーが破格の安さで貸し出されたのだ。